「コロナ禍」を受け、外食産業で希望(早期)退職者を募る動きが急速に広がっている。ファミリーレストランなどを展開するロイヤルホールディングス(HD)が約200人を募る計画を発表した。これにより、今年に入り、希望退職者を募集する外食の上場企業は5社となる。同様の例は昨年ゼロだったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績が悪化する中、状況は様変わりだ。

ロイヤルHD、ペッパーフードと並ぶ最大規模

ロイヤルHDが10月27日に発表した計画は50歳以上64歳以下の社員を対象として約200人を募集するという内容。主力の外食事業にとどまらず、コントラクト事業(空港、高速道路のレストラン運営受託など)、機内食事業、ホテル事業の全分野に及ぶ。募集期間は12月1日~18日(退職日は2021年1月31日付)。

募集人数は連結ベースの社員約2700人(臨時従業員を除く)の1割近くにあたり、外食産業では今年最大規模だ。今年7月にステーキ店「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスが約200人の希望退職者を募集(183人応募)したが、これに並ぶ。

ファミレス「ロイヤルホスト」(直営217店舗)、天丼「てんや」(直営140店舗、いずれも6月末時点)を両輪とする外食事業では今年5月に、不採算の約70店舗を2021年末までに閉店する方針を決定。

新型コロナ感染拡大に伴う非常事態宣言が出された4月、5月は前年同月比4~5割の売り上げ減に見舞われた。宣言解除後、回復に転じたものの、水準は前年の8割台にとどまる。また、国際線の旅客数も激減し、機内食事業も低迷を強いられている。

こうした中、事業構造改革の追加施策として打ち出したのが希望退職者の募集だ。賃料削減による経費圧縮をはじめ、役員報酬減額、不採算拠点の閉鎖、雇用調整助成金の活用、本部組織のスリムなどを進めてきたが、収益改善に向けてもう一段踏み込むことにした。

新型コロナで状況が一変

産業界では今年すでに、50社を超える上場企業が希望退職者を募集を発表した。業種別でみると、外食は昨年のゼロから一転、今年はここまで5社を数え、全体の1割近い。

そのトップバッターとなったのは関西を地盤とするフレンドリー。6月から正社員・準社員を対象に110人程度を募った。同社は社運をかけて全70店舗のうち、居酒屋を中心とする41店舗を閉鎖し、「釜揚げ讃岐うどん 香の川製麺」のブランドで展開するうどん専門店に業態転換を図った。

ペッパーフードサービスは主力の「いきなり!ステーキ」事業で114店舗閉店に伴い、7月に200人規模で募集した。同社はこれに合わせ、もう一方の柱だった「ペッパーランチ」事業を投資ファンドに8月末に売却し、経営立て直しを急いでいる。

居酒屋業態では「はなの舞」で知られるチムニー、「酔虎伝」「八犬伝」などを運営するマルシェが続いた。

チムニー、想定を5割上回る152人応募

チムニーは病院内などの食堂を運営受託するコントラクト事業部門を除き、100人程度を募った。事業規模に見合った人員体制とし、食事需要に対応した焼肉など新業態への転換を進める。ただ、結果は想定を5割上回る152人が応募した。

東海地区を地盤とするマルシェは、関西地区の大型店舗を中心に直営店舗の1割以上にあたる17店舗前後を閉店するなどの事業構造改革を推進中だ。

外食各社は4~5月の最悪期を脱したとはいえ、緊急事態宣言の解除後も客足はコロナ前の水準とは程遠いのが実情。コロナの逆風下、外食需要減退の長期化が避けられない見通しで、希望退職者募集を通じた人員削減が加速するおそれがある。

2020年:外食企業(上場)の希望退職者募集の状況

発表社名募集規模
10月 ロイヤルホールディングス 約200人(12月1日~18日)
9月 マルシェ 約20人(応募21人)
8月 チムニー 約100人(応募152人)
7月 ペッパーフードサービス 約200人(応募183人)
6月 フレンドリー 約110人(6月中旬以降一定期間)

文:M&A Online編集部