ホームセンター業界で再編の足音がにわかに高まってきた。キーワードの一つが「首都圏」だ。

DCMホールディングスが島忠の子会社化に向け、TOB株式公開買い付け)を始めた。今夏には新潟県を本拠とするアークランドサカモトがLIXILビバを傘下に収めたが、共通するのは首都圏での事業基盤確保を狙いとすることだ。関西を地盤とする業界3位のコーナン商事も昨年来、M&Aをテコに“東上作戦”にアクセルを踏み込んでいる。

業界首位をDCMホールディングスに明け渡すカインズが主戦場とするのは首都圏。足元は新型コロナウイルス感染に伴う巣ごもり需要の恩恵で活況を呈しているが、ホームセンター市場は20年近く4兆円前後で横ばいが続いており、首都圏の攻防次第では業界地図が大きく塗り替わる可能性がある。

首都圏攻防…島忠、LIXILビバがターゲットに

DCMホールディングスは10月5日、島忠株を1株4200円で買い付け始めた(11月16日まで)。最大1636億円で全株式を取得し、完全子会社化する。両社売上高の単純合計は約5900億円。

DCMはカインズと業界トップを争ってきたが、島忠を傘下に取り込み、手薄な首都圏での店舗網を充実させ、売上高でもカインズを一気に1500億円近く引き離す。店舗の重複が少なく、相乗効果の早期実現を見込む。

実のところ、DCMは首都圏であまりなじみがない。地方に本拠を置くカーマ(愛知県刈谷市)、ダイキ(松山市)、ホーマック(札幌市)の3社が2006年に経営統合して発足し、37都道府県に677店舗を展開するが、一都三県に限れば23店舗に過ぎない。一方、島忠は埼玉県発祥で、首都圏を中心に60店舗を持つが、単独ではコスト改善や規模拡大に制約があると判断した。

DCMホールディングス傘下「ホーマック」の店舗(都内で)

島忠は良好な財務体質でも知られる。2020年8月期の純資産額は1815億円と、売上高(1535億円)を優に上回る。DCMは島忠買収に1600億円超を投じるが、純資産額が買収額を大きく上回っており、いわば、お釣りが出る形だ。

迎え撃つ立場のカインズはといえば、全218店舗(2020年5月末)のうち、半数以上の110数店舗が埼玉県を主体に関東に集中する。

ホームセンター業界では7月、新潟県を地盤とする業界11位のアークランドサカモトが6位のLIXILビバを子会社化した。買収金額は約1085億円。両社合計の売上高は3000億円を超え、業界大手の一角に食い込んだ。小が大を飲む構図となったが、アークランドの狙いは首都圏進出の加速だ。