牛丼大手の「すき家」「吉野家」「松屋」に、明暗くっきり

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写真はイメージです

ゼンショーホールディングス(HD)<7550>、吉野家ホールディングス(HD)<9861>、松屋フーズホールディングス(HD)<9887>の牛丼チェーン店大手3社の2021年の第3四半期決算が出そろい、第4四半期の業績に明暗がくっきりと表れることが分かった。

すき家を展開するゼンショーHDの第4四半期(2021年1-3月)は、営業、経常、当期の全段階で黒字になるのに対し、吉野家HDの第4四半期(2020年12-2021年2月)と、松屋フーズHDの第4四半期(2021年1-3月)は、ともに全段階で赤字から脱却できない見通し。

第4四半期に入ってからの既存店の月次売上高の前年同月比を見ても、ゼンショーHDが吉野家HD、松屋フーズHDを上回っている。

3社ともに牛丼以外の事業にも取り組んでいるため、この結果がそのまま牛丼事業を反映しているわけではないが、いずれも牛丼が主力事業であり決算に与える影響は大きいのは事実。2021年の牛丼合戦はゼンショーHDに軍配が上がることになりそうだ。

販管費が明暗の要因

3社の2021年の第3四半期決算(9カ月の累計)と通期の業績予想から、第4四半期のみ(3カ月)の業績を計算したところ、ゼンショーHDの第4四半期の営業利益は40億9300万円、経常利益は27億3000万円、当期利益は11億9200万円となる。

一方、吉野家HDの第4四半期は、営業損益が33億6400万円、経常損益が39億800万円、当期損益が35億100万円のいずれも赤字となる。松屋フーズHDの第4四半期も、営業損益が12億9700万円、経常損益が11億3700万円、当期損益が7億3400万円のいずれも赤字が避けられない見通しだ。

3社の第3四半期累計の損益計算書を見ると、粗利益率(食材などの仕入れの費用を売上高から差し引いた粗利益の売上高に対する割合)は、吉野家HDの62.6%(前年同期は64.9%)、松屋フーズHDの66.2%(同67.2%)に対し、ゼンショーHDは57.2%(同57.5%)と、吉野家HD、松屋フーズHD よりも5-9ポイント低かった。

一方、販管費率(社員、アルバイトの給与や広告宣伝費、運送費、役員報酬、通信費などの費用の売上高に対する割合)は、ゼンショーHDの56.1%(前年同期は53.6%)に対し、吉野家HDは66.8%(同63.1%)、松屋フーズHDは67.5%(同61.1%)と、ゼンショーHD よりも10ポイント以上高かった。

この数字からはゼンショーHDが、粗利益率は低いものの販管費を抑えることで利益を生み出していることが分かる。第4四半期にこの傾向が急激に変化することは考えにくく、販管費の差が第4四半期の明暗を分ける要因となりそうだ。

直近の売上高も10ポイントの差

2月期決算の吉野家HDが第4四半期に入った2020年12月と、3月期決算のゼンショーHDと松屋フーズHDが第4四半期に入った2021年1月の既存店売上高の前年同月比を見ると、ゼンショーHDが12月101.3%→1月99.8%と100%前後で推移しているのに対し、吉野家HDは12月88.8%→1月90.5%、松屋フーズHDも12月91.0%→1月84.6%と90%前後で推移しており、10ポイントほどの差がある。

3社ともに新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出の自粛や営業時間の短縮など厳しい状況が続く中、これら数字を見る限りは、消費者の足は仕入れにコストをかけ、販売や管理のコストを削減している、すき家に向かっているように見えるのだが…。

文:M&A Online編集部

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