スポーツクラブ大手の2020年4~9月期(中間)決算が出そろった。新型コロナウイルス感染拡大を受けた「緊急事態宣言」と時期が重なった4~5月の最悪期は脱したものの、半期の売上高は多くが前年の約半分にとどまる。休業中の人件費を中心とする固定費など新型コロナ感染症関連損失に加え、会員数も2割近く落ち込んでおり、経営体力は低下する一方だ。

入会者減と休会・退会者増で会費収入が激減

業界首位のセントラルスポーツの4~9月期売上高は前年比44%減の151億円。4~6月期(第1四半期)段階で前年比60%減だったのに比べると、その後の持ち直し傾向がうかがえる。コナミスポーツ(コナミホールディングス傘下、スポーツ事業部門)はセントラルと売上高151億円の同額で並ぶが、前年比51%減の水準で、回復力では見劣りする。

売上高のマイナス幅が最も大きいのはティップネス(日本テレビホールディングス傘下)で、半期ベースで前年を55%下回る。

スポーツクラブ各社は4~6月期に前年を6割から8割近く下回る記録的な売り上げ減に見舞われた。緊急事態宣言の解除を受け、6月以降、段階的に営業を再開したが、売り上げの戻りは鈍い。

その最大の要因は会員数が大きく落ち込んでいることだ。入会者の減少と休会・退会者の増加というダブルパンチが会費収入を直撃。さらに利用自粛も加わり、ショップなどでの売り上げも減っている。

セントラルの9月末の会員数(スクール会員を含む)は約36万8000人で、1年前に比べて約17%減った。その数は実に7万4000人に上る。ルネサンスはもっと深刻だ。会員数は約33万9200人(同)だが、前年9月末より19.5%、およそ8万1000人減った。このうち中核のフィットネス会員が6万人強を占める。

また、ルネサンスでは4~9月期累計の入会者が前年同期の半分にとどまったという。集客時期の4月、5月に臨時休業したのが響いた形だ。

ルネサンスの店舗(都内)

固定費吸収できず、赤字が膨らむ

売上高がほぼ半減する中、人件費や施設維持・運営にかかわる固定費を吸収できず、赤字が膨らんだ。本業の儲けを示す営業損益はコナミスポーツの73億円を筆頭に、ティップネスが37億円、ルネサンスが29億円の大幅赤字を計上した。

セントラルは2億8700万円の営業赤字にとどまったが、新型コロナ感染関連で約21億円の特別損失を計上し、33億円近い最終赤字となった。

黒字圏に踏みとどまったのはホリデイスポーツ(東海地区を中心に全国展開する東祥のスポーツクラブ事業)。当該部門の営業損益は前年比85%減ながら3億8500万円の黒字を確保した。ホリデイスポーツは4月以降、鹿児島や岡山などに5店を開設して現在99店舗。来年3月までにさらに2店を出店する予定で、100店舗の大台に乗せる。

冬本番を控え、「第3波」を警戒

各社は入会キャンペーンの強化に加え、オンライン動画配信の充実に力を入れるなど顧客の引き留めに躍起だ。とはいえ、コロナ感染への警戒感は根強く、マシンジムエリアは総じて閑散としている。

また、本来なら高い集客が見込めるスタジオプログラムも密を避けるため参加人数が制限されたり、レッスン時間が短縮されたり、通常営業にほど遠く、顧客離れを招く一因となっている。休会者がそのまま退会者に移行するケースも後を絶たないのが実情だ。

これから冬本番を迎えるが、新型コロナの「第3波」が到来する事態になれば、収益改善の道のりはさらに遠のく。

◎スポーツクラブ大手の4~9月期業績(単位億円、カッコ内は増減率、△はマイナスまたは損失)

  売上高 営業損益 店舗数
セントラルスポーツ 151(△44%) △2.8(-) 181
コナミスポーツ 151(△51%) △73(-) 179
ルネサンス 125(△45%) △29(-) 101
ティップネス  83(△55%) △37(-) 179
東急スポーツオアシス 65(△34%)  ー 37
ホリデイスポーツ  51(△48%)   3.8(-)  99
メガロス  46(△43%)  ー 49

✳︎コナミスポーツはコナミHD、東急スポーツオアシスは東急不動産HD、ホリデイスポーツは東祥、メガロスは野村不動産HDの部門業績に基づく。店舗は直営店舗。

文:M&A Online編集部