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旅行会社大手の「HIS」が起死回生を狙う事業とは
新型コロナウイルスの影響で赤字に転落しているエイチ・アイ・エスが、ウイズ・コロナ時代を見据えた事業展開を加速している。ウイズ・コロナ時代に必要となるビジネスを取り込むことで、業績を回復することができるだろうか。
新型コロナウイルスの影響で苦境に陥っている旅行会社の実態が次第に明らかになってきた。エイチ・アイ・エス(HIS)<9603>は2020年9月25日に、2020年10月期の営業損益が367億円の赤字に陥る見通しを公表した。
大手旅行会社で通期の見通しを示したのは今のところHISだけだが、KNT-CTホールディングス<9726>は2021年3月期第1四半期で142億5200万円の営業赤字に、日本旅行は2020年12月期の中間決算で64億4100万円の営業赤字に転落しており、通期でも赤字は避けられない見通し。
最大手のJTBは5月に発表した2020年3月期決算の際に、2021年3月期の見通しを合理的な算定ができないとして記載しておらず、その後も四半期決算を公表していないため業績予想は未定のままだが、新型コロナウイルスで大きな影響を受けていることは想像に難くない。
10月1日に東京都がGoToトラベルに加わることで、旅行需要の増加が見込めるものの、世界各国で渡航制限措置が続いており、本格的な需要回復には程遠いのが実情。旅行会社にとっては、まだまだ厳しい状況が続きそうだ。
HISは2020年10月期の業績予想を当初、売上高9000億円(前年度比11.3%増)、営業利益193億円(同10.0%増)と2ケタの増収営業増益を見込んでいた。
その後2020年3月に発表した2020年10月期第1四半期では売上高を7750億円(同4.1%減)に、営業利益を17億円(同90.3%減)に引き下げ、さらに同年6月には新型コロナウイルスの影響を合理的に算定できないとして業績見通し自体を取り下げていた。
今回2020年10月期第3四半期の決算発表時に、通期の見通しを改めて公表したもので、売上高は4240億円(同47.6%減)と半減し、損益も大幅な赤字の営業損益と同様に、経常段階で360億円、最終段階で318億円の赤字となる。
同社ではレジャー需要の回復が限定的であることを下方修正の理由に挙げており、赤字見通しに伴って配当についても無配とすることを決めた。
【HISの業績見通し】単位:億円
2020年10月期 当初予想 |
2020年10月期 第1四半期時予想 |
2020年10月期 第2四半期時予想 |
2020年10月期 第3四半期時予想 |
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売上高 | 9000 | 7750 | 未定 | 4240 |
営業損益 | 193 | 17 | 未定 | △367 |
経常損益 | 195 | 28 | 未定 | △360 |
当期損益 | 110 | △11 | 未定 | △318 |
新型コロナウイルスの影響で赤字に転落しているエイチ・アイ・エスが、ウイズ・コロナ時代を見据えた事業展開を加速している。ウイズ・コロナ時代に必要となるビジネスを取り込むことで、業績を回復することができるだろうか。