11月に入り、上場企業による希望(早期)退職者募集の発表が激増中だ。今年最多だった10月の12件に半月足らずで並んだ。1月からの累計では80社を数え、すでに前年の2倍を優に超える。新型コロナ禍の出口が見通せない中、雇用情勢は緊迫の度を増している。

7営業日連続の発表ラッシュ

希望退職者の募集をめぐっては10月に今年初めて2ケタの月間12社を記録したが、11月は前半だけでいとも簡単に追いついた。

三菱ケミカルホールディングス(HD)と放電精密加工研究所が計画を発表したのは11月4日。この日から12日にかけて7営業日連続で各社の発表が相次いだのだ。

三菱ケミカルHDは傘下の中核子会社、三菱ケミカルで50歳以上勤続10年以上の管理職(再雇用者を含む)を対象に退職者を募る「キャリアチャレンジ・サポート・プログラム」を実施する。人数は特に定めず、12月1日から8日まで募集する。新型コロナ感染の影響で自動車用を中心とする需要低迷で、2020年4~9月期の売上高は2割近く減少した。

発表社名募集人数・期間
4日放電精密加工研究所 約60人、11月23日~12月11日
三菱ケミカルホールディングス定めず、傘下の三菱ケミカルで12月1日~18日
5日エイベックス 約100人、12月10日~21日
6日セガサミーホールディングス 650人、11月16日~12月25日
新電元工業国内人員の10%程度、2021年3月期中
9日タムロン 200人、11月10日~20日
10日青山商事 約400人、12月14日~2021年2月19日
11日リケン 約150人、2021年1月7日~29日
三菱製鋼 約100人、2021年1月5日~22日
KNT-CTホールディングス 定めず、2021年1月4日~22日
12日ムーンバット 約40人、12月14日~25日
ジーンズメイト 実施予定

青山商事、コロナでスーツ販売低迷に拍車

設立以来初の希望退職者を400人規模で募るのは「洋服の青山」を展開する紳士服首位の青山商事。新型コロナによる在宅勤務の広がりなどで、スーツ販売の落ち込みに拍車がかかっており、2021年3月期は292億円の最終赤字を見込む。

対象は40歳以上63歳未満で勤続5年以上で、募集人数は単体従業員のほぼ1割にあたる。人員の適正化と年齢構成の調整が狙い。2022年3月期までに総店舗数の1割程度の80店舗の閉鎖も決めた。

エイベックスは約100人を募る。音楽事業の一部と全社の間接部門に在籍する40歳以上を対象とする。該当者は443人(10月末時点)で、全社員のおよそ3割に相当する。新型コロナでライブ・イベントの開催中止や自粛で業績が急速に悪化しており、人員体制を再構築する。

2020年4~9月期は売上高が前年同期比44%減の342億円、営業赤字22億2900万円(前年同期は6億8800万円の赤字)。2021年3月期は通期でも営業赤字が避けられない情勢にある。

約100人の希望退職者を募るエイベックス(東京・南青山の本社)

セガサミーは650人規模に

募集規模が最も大きいのはセガサミーホールディングス。その数はグループの正社員・契約社員を対象に650人に上り、全従業員の約7%にあたる。新型コロナに伴う巣ごもり需要でゲームソフト関連が伸びたものの、パチンコ・パチスロなどの遊技機関連が落ち込んだ。

2021年3月期の最終損益は希望退職の関連費用約100億円も加わり、245億円の赤字転落(前年度は137億円の黒字)を見込む。セガサミーはゲームセンターを運営する子会社の売却も決めた。

旅行大手の近畿日本ツーリストを傘下に置くKNT-CTホールディングスは人数を定めず、募集する。2024年度末までに現在約7000人の社員を採用抑制などで3分の2に圧縮する計画で、この一環をなす。コロナ後を見据え、会員組織による個人旅行のクラブツーリズム事業、首都圏での法人旅行事業に経営資源を集中する一方、個人・団体旅行事業の縮小を打ち出している。

業種別では製造業が12社中、7社を占める。三菱ケミカルHD、放電精密加工研究所、セガサミーのほか、新電元工業、タムロン、リケン、三菱製鋼が続いた。

希望退職者募集の計画を今年発表した上場企業は10月末時点で少なくとも67社(延べ70社)。このうち、LIXILグループの1200人(2021年1月に実施)を筆頭に、レオパレス21の約1000人(1067人が応募)、日立金属の約1000人(2022年3月期までに実施)と合わせ、3社が募集人数で1000人を超える。

文:M&A  Online編集部