新型コロナウイルスに感染して入院中の米国のトランプ大統領に対して、医師団が治療薬「レムデシビル」と、肺炎を抑えるステロイド剤「デキサメタゾン」を投与したことを明らかにした。 

米国ではレムデシビルは、中等度から重度の疾患の入院患者の治療のために、一時的な使用が許可されている薬剤で、デキサメタゾンは米国国立衛生研究所(NIH)が人工呼吸や酸素投与を必要とする患者に使用を推奨している抗炎症剤。 

日本でも5月にレムデシビルが、7月にデキサメタゾンがそれぞれ、症状の重い患者向けの治療薬として承認されている。これら治療薬にはどのような効果があるのだろうか。 

回復までの時間を短縮できるレムデシビル 

レムデシビルは米国のバイオ医薬品メーカーのギリアド・サイエンシズ(カリフォルニア州)が10年以上前に開発した薬剤で、すでに世界約50カ国で新型コロナウイルスの治療薬として、一時的な使用や、通常の使用が承認されている。 

米国では緊急使用許可(EUA)の下で一時的な使用が認められており、米国食品医薬品局(FDA)による正式な使用の承認は受けていない。ギリアド・サイエンシズは2020年8月7日に新薬承認申請を提出しており、現在審査中という。 

レムデシビルはDNAやRNAの基礎的なブロックであるヌクレオチドの類似体で、ウイルスが増殖の際に必要なRNA合成酵素(RNAポリメラーゼ)の働きを抑制することで増殖を抑える。 

試験管や動物実験などで、エボラウイルスや中東呼吸器症候群(MERS)ウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスなどの複数のウイルスで不活化効果があり、新型コロナウイルスについても、回復までの時間の短縮や、疾患の進行の抑制などが確認されている。 

ギリアド・サイエンシズはレムデシビルの増産に取り組んでおり、10月からは全米の病院への供給が可能になった。 

重症患者の致死率を下げるデキサメタゾン 

一方、デキサメタゾンは1960年代から使用されているステロイド系の抗炎症薬で、英国で行われた試験では、重症な患者の致死率を低下させたとの報告がなされている。 

同試験ではデキサメタゾン 6ミリグラム を1 日1 回、経口か静脈内注射で10日間投与したグループ(2104人)と、デキサメタゾンを投与せずに標準的な治療を行ったグループ(4321人)の治療開始28日後の致死率を比較した。 

その結果、人工呼吸器装着患者の致死率は標準治療グループの40.7%に対し、デキサメタゾンを投与したグループは29.0%と大きく下がった。酸素投与の患者の致死率についても標準治療グループの25.0%に対し、デキサメタゾンを投与したグループは21.5%と低かった。一方、酸素投与の必要のない患者については効果がなかった。 

両薬剤を併用した際の症状は、どのように変化するのだろうか。

文:M&A Online編集部