伊藤忠商事<8001>によるTOB株式公開買い付け)に対し、デサント<8114>が7日、「反対」を表明した。反対は九分九厘間違いないとみられていたが、今回の意見表明で敵対的TOBであることが正式に確定した。

友好的な「第三者」を模索か

反対を表明した以上、臨戦体制に向け、手をこまねいてはいられないはずだ。対抗策としてデサントの意向を受けた友好的な第三者、いわゆるホワイトナイト白馬の騎士)が現れるのか。そうなれば、買付価格の引き上げ競争に突入する公算が大となる。

敵対的TOBは日本で1年に1件あるかどうかというレアな出来事。果たしてどう結末が待っているのだろうか。

TOB公告が行われれば、10営業日以内に株式の買い付け対象となった上場企業は賛同、反対、中立、留保などの意見表明が義務づけられている。伊藤忠は1月31日、デサントへの事前連絡なしでTOBを開始していた(買付期間は3月14日まで)。

デサントは「強圧的な手法により実質的に支配権を取得するもので、伊藤忠の利益を優先した経営がなされる危険がある」と反対する旨を表明した。

伊藤忠は現在、デサントの筆頭株主で、30.44%の株式を保有する。伊藤忠はTOBでデサント株を買い増し、40%を上限として持ち株比率を高める計画。子会社化を目的としたTOBではないものの、議決権の3分の1以上を握ると、株主総会で重要事項の決議を単独で阻止できるようになり、経営への影響力が格段に増す。

今回の敵対的TOBでは3つのパターンが考えられる。第一は伊藤忠がTOBに成功すること。第二にTOBに失敗して計画した持ち株比率に届かない場合。第三はデサントに友好的な第三者(ホワイトナイト)が現れるケース。

株価が急上昇し、プレミアムの“妙味”が薄れる

デサント株の買付価格は1株2800円。TOB公表前日の終値1871円に対し、約50%のプレミアムを乗せた。ただ、TOB開始後、株価は急上昇し、プレミアムの妙味が薄れている。

2月7日の終値は2638円で、買付価格にかなり接近。実勢株価が早晩、買付価格を上回ることも予想される。その場合、第二のケースを回避するために、伊藤忠は買付価格の引き上げや買付期間の延長も視野に入れざるを得なくなる。

デサント側の打ち手となりそうなのが第三のケース。ホワイトナイト候補としては投資ファンドが考えられる。実は、デサントは投資ファンドと組んでMBO(経営陣による買収)を通じた株式の非公開化を検討してきた経緯があるからだ。伊藤忠によるTOBの直接の引き金もこの一件にあるとされる。

デサント陣営としては当然、伊藤忠のTOBを上回る条件の提示が必要となる。

2年前、敵対的TOB側が勝利したことも

ここで思い出されるのが2017年2月から5月にかけての情報機器販売会社ソレキア<9867>をめぐるTOB攻防戦。フリージア・マクロス<6343>会長で実業家の佐々木べジ氏によるTOBに反対を表明したソレキアの意向を受けた富士通<6702>TOBで対抗した。

もっとも、このケースでは買付価格の引き上げ競争の結果、敵対的TOB側の佐々木氏が勝利し、ホワイトナイトの富士通が敗れた。

目下、両社は立場の違いを鮮明にしている。デサントの対抗策待ちだが、真正面から激突する可能性が高まっているといえよう。

文:M&A Online編集部