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2018年第1四半期 TOBプレミアム分析レポート
2018年第1四半期のTOB件数(累計)は、公表ベースで8件と前年 (16件)より減少。主なTOB案件は、大和リースによるテクニカル電子のTOB(プレミアム42.73%)、RIZAPグループによるワンダーコーポレーションのTOB(プレミアム5.83%)だった。
季刊 巽 震二の国内株式TOBマーケットレビュー 第8回
2018年1月から3月にかけて日経平均株価は調整局面となり、しばらく下落が続きましたが、4月に入ると3/26を底値に反発し、2018/5/10現在で2/3戻し達成を伺う状況となっています。
しかし、「セルインメイ “Sell in May“」(注:「株は5月に売れ」という相場の格言)のアノマリーへの警戒感や一定の高値警戒感・先行き不透明感がみられるため、引き続きTOBは低調気味に推移する可能性があると考えられます。
不動産運用の日本アセットマーケティング<8922>に注目したいと思います。
引き続き、事業会社による積極的な事業拡張を目的としたTOBは低調となる可能性が高く、株価が6か月以上低迷しているような企業のMBOやバイアウトなどは活性化する可能性があります。そこで今回は、株価が6か月以上低迷している銘柄をスクリーニングし、TOB期待銘柄を考えてみました。
まず、東証マザーズ指数採用銘柄のうち、2015年12月末時点で上場済みのものを対象として、2018年4月末の株価を6か月前の終値と1年前の終値を比較し、それぞれの増減率を算出しました。
次に、1年前との比較ではマイナスになっており、かつ6か月前との比較ではプラスになっている銘柄に絞り込み、対前年増減率と対6か月前増減率の差が20%以下の銘柄をピックアップすると、以下の通りとなりました。
図1 株価が6か月以上低迷している銘柄
銘柄名 | 主な事業内容 |
---|---|
Abalance(エーバランス) | 建設機械販売、ソーラーパネルの販売、ECM(エンタープライズコンテンツマネジメント)専用ソフトウェアの開発販売。旧社名はリアルコム。 |
リボミック | 創薬バイオベンチャー。製薬会社の要請に応じた新薬のシ―ズ供与、アドバ イザリー等も行う。 |
ヘリオス | 化合物医薬品、iPSC再生医薬品などの研究開発。主な対象疾患は加齢黄斑変性。 |
イード | クルマ情報サイト「レスポンス」や「東京IT新聞」などのウェブメディア、コンテンツ制作・運営 |
レアジョブ | オンライン英会話サービス |
日本アセットマーケティング | 投資アドバイザリーなどのコンサルティング、不動産管理、テナント賃貸業など |
次に、これらの銘柄のEPS及びBPSの直近2年間の四半期ごとの推移を見てみましょう。
図2 EPS・BPS推移
リボミック<4591>、ヘリオス<4593>は赤字体質に陥っているため、仮にTOBがかかったとしてもプレミアムはあまり期待できないと考えられます。
Abalance<3856>は、赤字と黒字を繰り返していて変動が激しいですが、2017/12に終わる四半期では大幅な利益計上をしており、プラスのプレミアムでのTOBの対象となる可能性もゼロとは言えないと思われます。
イード<6038>とレアジョブ<6096>は、時折赤字転落はしたもの基本的には黒字基調ですので、よりTOBの可能性が高いと考えられます。
そして日本アセットマーケティング<8922>ですが、直近9四半期では一度も赤字転換したことがないため、業績に一定の安定感があり、MBOやファンドによるバイアウトには最適の銘柄と考えられます。
さらに重要なポイントとして、同社はドン・キホーテ<7532>の上場子会社ですので、親子上場解消の面からもTOBの期待が持てます。
以上より、今回のスクリーニングでは、最も有望な銘柄として「日本アセットマーケティング<8922>」に注目しました。
2018年第1四半期のTOB件数(累計)は、公表ベースで8件と前年 (16件)より減少。主なTOB案件は、大和リースによるテクニカル電子のTOB(プレミアム42.73%)、RIZAPグループによるワンダーコーポレーションのTOB(プレミアム5.83%)だった。