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【TOBマーケットレビュー】 LBOの可能性が高い昭和シェル石油に注目

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季刊 巽 震二の国内株式TOBマーケットレビュー 第5回

巽 震二のTOB注目銘柄・・・LBOの可能性が高い昭和シェル石油

 昭和シェル石油<5002>に注目したいと思います。

 2017年7月19日、出光興産<5019>創業家一族による公募増資差し止め請求が東京高等裁判所に却下され、創業家一族が特別決議拒否権を喪失することとなりました。
 この結果、懸案の昭和シェル石油との合併に向けて事態が大きく進展したこととなります。

 一方で、今なお一定の影響力を有する出光創業家は合併には強硬に反対しており、一部報道では出光内部で創業家との妥協案として合併ではなくTOBによる買収とする案が浮上しており、増資による資金流入も生じたことから、昭和シェルサイドはそれをかなり警戒しているという観測記事も出ています。
 昨年11月の本記事でも記載しましたが、昭和シェルの極めて良好な財務体質から、出光興産がLBOに打って出る可能性は高く、増資による資金流入もあるため、その可能性は一層高まったといえるでしょう。

 そこで、資金面で出光サイドのTOB実施可能性が増資によりどの程度可能性が高まったのかを検討してみたいと思います。

 本稿締め切りは両社の2018年度第1四半期決算発表予定日前ですので、2017年3月期末の両社の有報と開示情報から、LBO資金調達余力を探ってみたいと思います。

LBO資金調達余力は

図表1 LBO資金調達余力

LBO資金調達余力
筆者作成

 両社の直近決算ベースの貸借対照表に、公募増資で得た資金とその使途から算定した有利子負債圧縮額を調整し、単純合算すると、要返済債務の営業CF償還年数は3年、ネットD/Eレシオは1倍となります。仮に、負債健全性の一般的目安である要返済債務の営業CFによる償還年数10年を借り入れ可能上限とすれば、LBO借り入れ余力は営業CF(キャッシュフロー)7年分で941,227百万円となります。

TOB必要調達額を試算してみる

 他方、TOB必要調達額について試算すると、プレミアム30%で404,254百万円、プレミアム100%でも621,929百万円とかなり余裕があることがわかります。

図表2 TOB必要資金試算

TOB必要資金試算
筆者作成

 以上の状況と、出光側のインセンティブ(創業家との融和、経営統合後の主導権取得)、昭和シェル側の対抗手段が実質的にないこと(すでに出光側が発行済み株式の45%を取得済み、市場株式の買収に対する法的対抗手段が限定的、株主構成から見てTOBに反対するとみられる重要な株主が見受けられない)を考えれば、いずれかのタイミングでTOBに踏み切るシナリオの現実味は一層高まっていると考えられます。

 仮に、合併となれば、おそらく時価ベースで双方プレミアムなしの統合となり、TOBとなれば、一定のプレミアムはつくことになると考えられます。したがって、合併になったとしても公正価値での取引のため株価自体の変動以外に損はなく、TOBになればプレミアムが期待できるという観点から、出光売り昭和シェル買いのロングショートポジションで株価自体の変動リスクをヘッジしてTOBプレミアムのオプションを純粋に取りにいくトレードが面白いかもしれません。

株式公開買付(TOB)

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