各種報道によれば、スポーツウェアメーカー DESCENTE(デサント)<8114>創業家出身である石本雅敏社長と、デサントの筆頭株主である伊藤忠商事<8001>の岡藤正広CEOとの間に、経営方針をめぐる確執が生じている模様です。

TOB注目銘柄は・・・デサント<8114>

岡藤CEOは、持分法適用会社であるデサントの成長速度に不満を持ち、従来25%強であった持ち分比率を30%弱に引き上げることでデサントへの圧力を強める一方、石本社長は、伊藤忠商事からの影響力行使を嫌い、独自路線を貫きたい希望を持ち、ワコールHD<3591>との業務提携を行うなど、伊藤忠商事からの圧力の分散を図る動きを見せています。

伊藤忠商事としては、岡藤CEOの出身母体である繊維カンパニーのてこ入れ策として、デサントの持ち分を50%超に高め、連結子会社化したい希望があるとの観測がなされています。

今後のシナリオとしては、①「伊藤忠商事が敵対的TOBに踏み切り、デサントの連結子会社化を達成する」、②「創業家がホワイトナイトを確保し、伊藤忠から持ち分を買い取る」、③「現状で両社のにらみ合いが継続し、膠着状態に陥る」、の3つが考えられると思います。

以下、それぞれのシナリオについて検討してみたいと思います。

シナリオその1.伊藤忠商事が敵対的TOBに踏み切り、デサントの連結子会社化を達成する

このシナリオの可能性がどの程度あるかを検討するため、まず敵対的TOBで持ち株比率を50.1%に引き上げて連結子会社化するために必要な資金を試算してみたいと思います。

連結子会社化に必要な資金を試算してみた

Bloombergによれば、11月2日現在、伊藤忠商事の保有株式数は22,954,300株です。これに対してデサントの発行済み株式総数は76,924,176株です。

自己株式が1,515,680株ありますが、創業家側のホワイトナイト等に流出する可能性を考慮し、自己株式控除前の全発行済み株式をベースに考えることとし、単元株ベースで過半数超を11月2日終値に対するプレミアム25%で取得すると仮定します。

その結果、必要資金は以下の通り、52,959百万円となります。

図表1 過半数超取得に必要な資金

発行済株式 76,924,176 株
過半数超 38,462,089 株
単元未満切り上げ 38,462,100 株
伊藤忠商事保有株式数 22,954,300 株
必要追加取得株式数 15,507,800 株
株価(11/2終値)2,732 株/円
想定プレミアム 25%
必要資金 52,959 百万円

次に、これだけの投資が可能かどうか、伊藤忠商事繊維セグメントの投資予算を予想してみたいと思います。