スポーツウエア大手のデサント<8114>筆頭株主の伊藤忠商事<8001>との経営対立が後戻りできない状況だ。伊藤忠は1月31日、事前通告なしで、持分適用関連会社のデサントに対してTOB株式公開買い付け)を開始した。これに対し、デサントは賛同か反対かの意見を表明していないが、敵対的TOBの構図が決定的となっている。

“脱伊藤忠”を模索、独自経営にかじを切る

伊藤忠によるTOBはデサント株式を買い増し、現在約30%の持ち株比率を40%に引き上げる内容で、デサントの子会社化を目的としたものではない。とはいえ、“脱伊藤忠”を目指してきたデサントにとって、経営への発言権が強まる株式買い増しは容認できない事態。

デサントの苦境期、両社は二人三脚で経営立て直しにあたり、30年を超える緊密な関係を持つが、2013年に創業家出身の石本雅敏社長が経営トップに就き、独自経営路線にかじを切ったのが転機となった。そして今回、伊藤忠が強硬姿勢に出た。

極度の緊張関係を解きほぐす有効策は見つかるのか。

伊藤忠本社(東京・青山)

デサントと伊藤忠の確執が表面化したのは昨年夏。伊藤忠が7月、8月、10月にデサント株を立て続けに買い増したのがきっかけ。同年3月時点で25%程度だった持ち株比率を約30%まで高めた。デサント側は「買い増しは事前に連絡がなく、当惑している」と懸念を示した。

この背景にあるのが路線対立。韓国依存が高いデサントに対し、伊藤忠は事業戦略の見直しを求めたが、デサント側は独自経営で成果を出してきたとして反論するなど、双方の不満が蓄積していた。

さらに今回のTOBの直接の引き金となったとされるのがデサントによるMBO(経営陣による買収)構想。昨年11月、デサントの石本社長から、投資ファンドと組んで株式の非公開化を協議しているとの連絡が伊藤忠側にあったという。

伊藤忠は非公開化について「現経営陣の保身を優先するスキーム」とし、1月30日に反対する旨を正式に通知。この翌31日にTOBによるデサント株の買い増しを発表し、即日、買い付け(~3月14日)を開始した。デサントは「当社取締役会に何らの連絡もなく、事前協議の機会もないまま、一方的に行われた」と否定的なコメントを発表しながらも、反対かどうかの明確な意見表明はしていない。

MBO阻止へ、3分の1超に株式を買い増し

TOB後の持ち株比率は現在の30.44%から40%に高まる。議決権の3分の1以上を握ることで、株主総会で株式非公開化など重要事項の決議を単独で阻止できる。MBOの道をまず封じてしまうというわけだ。

買付価格は1株2800円。TOB公表前日終値1871円に49.65%のプレミアムを加えており、予定通りに買い増しが進むとみられる。買付金額は201億円を予定する。

問題はその先だ。両社の関係は果たしてどうなるのか。

〇デサントの業績推移(単位は億円)

17/3期18/3期19/3期予想
売上高131514111480
営業利益849596
最終利益565765