東京証券取引所は2日、MBOマネジメントバイアウト=経営陣による買収)によって非公開化した企業が再上場する際の上場審査の指針を公表した。①MBOと再上場の関連性②プレミアム配分の適切性・MBO実施の合理性――の2つの視点で確認を行い、再上場時のコーポレート・ガバナンスの体制や再上場に至るまでの経緯を勘案し、総合的に再上場の可否を判断する。MBO後に再上場するケースが今後増える可能性があることに備え、投資家保護を強化する狙いだ。

 MBOは上場会社の経営者が株主から株式を買い取って会社を非公開化する取引。経営者にとっては短期的な株価の変動を気にすることなく、機動的な経営改善が可能となる利点がある株主にとっては市場価格よりもプレミアムを上乗せした価格で株式を売却できる機会となる。東証によると、国内だけでも最近 10 年間で 100 件以上実施されているという。

 しかし、MBOは経営者が株主から株式を買い取る取引であることから、経営者と株主の間で利益相反が生じやすい。しかも経営者の方が株主よりも豊富に企業情報を持っている。例えば、意図的に費用を積み増して業績を悪化させ、株価が安いタイミングを狙って非公開化。その後の業績回復したタイミングで再上場させる――といった手法で、経営者が不当な利益を享受し、情報劣位に立つ株主は損をするといった事態を招きかねない。

 実際、過去に外食大手のレックス・ホールディングスによるMBO事件など、不満を募らせた株主が裁判を起こしたケースも発生している。いったんMBOした企業が再上場し、経営者のみが大きな利益を上げるようなことが頻発すれば、市場の信頼性を阻害しかねないため、今回の指針公表に至ったものと推察される。