日経平均株価は4月から6月まで戻り高局面となっているものの、7月以降は高値持ち合い圏で方向感がなく、依然として企業の投資意欲は低調気味に推移する可能性があると考えられます。

前四半期から引き続き、事業会社による積極的な事業拡張を目的としたTOBは低調となる可能性が高く、株価が6か月以上低迷しているような企業のMBO・バイアウトなどは活性化する可能性があります。

それでは早速、TOB注目銘柄を見てみましょう。

昭和シェル石油<5002>と出光興産<5019>に注目

昭シェルと出光の株式交換比率は・・・

1年前の記事(→こちら)で、出光興産による昭和シェル石油へのTOBのシナリオを想定しましたが、報道によれば出光興産経営陣はTOBに踏み切ることも検討していたものの、最終的には村上世彰氏の仲介で創業家との合意を取り付け、2018年7月10日、昭和シェル石油との株式交換による経営統合を公表しました。両社のプレスリリースによると、2018年10月に株式交換比率の合意を完了させる予定となっています。

今回のケースでは、出光興産がプレミアムを支払う可能性が高いと考えられます。そこで、両者の株価の推移、両者の株価比率の推移から見て、どの程度の株式交換比率となりそうか、どの程度のプレミアムが期待できそうかを予想してみたいと思います。

まず、直近1年の両社の株価比率(昭和シェル石油株価を出光興産株価で除して算定)の推移を見てみましょう。

図1 株価比率(昭和シェル石油/出光石油)の推移

株価比率(昭和シェル石油/出光石油)の推移
筆者作成

上記のグラフからは、おおむね0.45から0.34のレンジで推移していたことが読み取れます。

次に、上場会社同士の株式交換の際に一般的に採用される、6か月、3か月、1か月、直近の平均株価の比率を算定すると、以下の通りです。

株式交換比率の合意予定が10月とだけ公表されているので、10月1日に合意されると仮定して9月末までを平均株価の算定期間とした場合は、6か月平均株価の起算日は4月1日、3か月平均株価の起算点は7月1日、1か月平均株価の起算点は9月1日となります。

合意日を10月31日と仮定して、10月を平均株価の算定期間とした場合、それぞれの起算日は5月1日、8月1日、10月1日となります。そこで、各起算日(本稿執筆時に未到来の9月1日、10月1日は除外)から本稿執筆時の最新の株価である8月20日までのそれぞれの期間の平均株価で株式交換比率を試算すると、以下の通りとなります。

図2 平均株価と株価比率

平均株価と株価比率
筆者作成

以上の試算の結果では、仮に10月まで現在の株価水準が大きな変動なく推移すれば、プレミアムゼロの交換比率は0.39~0.37となります。 

しかし、今回の統合取引の経緯と期待されるシナジー効果からして、プレミアムゼロでの取引は想定しがたく、一定のプレミアムは期待してよいものと考えられます。 

プレミアムのヒントとして、経営統合公表後の株価及び株価比率の値動きを見てみましょう。