東芝にとって「ラッキー」だった?臨時株主総会での2分割案否決

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臨時株主総会で「東芝解体」は回避された(Photo By Reuters)

否決の責任はファンドが送り込んできた社外取締役に

今回の臨時株主総会の「2分割案」否決で、東芝経営陣の立場が悪くなるとの報道もある。が、そうはならないだろう。株主に否決された「2分割案」を決定したのは綱川前社長だ。独シーメンスの日本法人副社長などを経て3月1日に就任したばかりの島田太郎社長兼CEOにとっては「前任者の決定事項」であり、「傷」がついたにしても軽い。

そもそも会社分割案は綱川前社長の発案ですらない。東芝解体を強く主張したのは、物言う株主の影響が強い社外取締役だった。香港の総合商社ノーブル・グルーブの元会長でKPMG時代にリーマン・ブラザーズのアジア法人清算を手がけたポール・ブロフ氏を委員長とする戦略委員会が「東芝解体案」を立案したのだ。

ブロフ氏と言えば、2019年の株主総会で物言う株主との協議を受けて就任した社外取締役の1人。2021年6月に同社と経済産業省が海外投資家に圧力をかけていたとする調査報告書を受け、定時株主総会で物言う株主と歩調を合わせて会社提案の取締役選任案に異議を唱えたことで知られる。

つまり臨時株主総会で否決されたのは、「東芝の再建案」ではなく「物言う株主の再建案」なのだ。「東芝解体案」を主導した社外取締役の任命責任から逃れるためか、「東芝解体案」に前向きとされた旧村上ファンド系のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントは2021年11月に、「分割案への賛否は未定」と慎重な姿勢に変わる。2022年3月10日には「中長期的な企業価値の毀損(きそん)につながる可能性がある」として、臨時株主総会で反対する意向を明らかにしている。

M&A Online編集部

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