新型コロナの「治療薬」手に入りやすくなる兆しが

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ファイザーの治療薬「パキロビッド」(提供:ファイザー)

新型コロナウイルス感染者数の急増に伴って不足気味となっていた治療薬の調達状況に、改善の兆しが見えてきた。

大手製薬会社メルクの日本法人MSD(東京都千代田区)は、新型コロナウイルス感染症の飲み薬「モルヌピラビル」(ラゲブリオ)の日本への供給を、2022年3月までに当初計画の60万人分から80万人分に増やす。

治療薬への需要が急速に高まっているため日本政府の要請に応じて、供給を前倒しするもので、契約を結んでいる160万人分の残りの供給についても前倒しする計画という。

一方、大手製薬会社ファイザーの日本法人であるファイザー(東京都渋谷区)は、同社の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ニルマトレルビル錠/リトナビル錠」(パキロビッド)の日本での製造販売の特例承認を取得し、日本政府との間で200万人分を供給するこで合意した。

同社は供給の時期や量などについては明らかにしていないが、近いうちに病院などでの投与が可能になりそうだ。

飲み薬が容易に手に入るようになれば、重症化のリスクを抑えることでき、自宅療養者の治療も容易になるため、社会不安の解消に大きく寄与することが見込める。コロナ前の日常が徐々に近づきつつあるといえそうだ。

前倒し供給要請に対応

MSDは2021年12月25日に、ラゲブリオ20万人分を日本に供給し、2022年2月と3月にそれぞれ20万人分ずつを供給する予定だった。

ところが新型コロナウイルスの変異株オミクロンの感染者数が急増したため、1月に5万人分を供給し、2月に22万人分を、3月に33万人分を供給することにした。

MSDのカイル・タトル社長は「今後もラゲブリオを安定的に提供できるよう日本政府などと緊密に連携する」としており、政府の前倒し要請に対応していく姿勢を示している。

ラゲブリオは新型コロナウイルスの増殖を阻害する飲み薬で、治療、予防投与、感染防止などの効果が確認されており、試験管内での実験ではオミクロンに対する効果も認められている。

増産に向けた投資を継続

一方、ファイザーは2022年1月14日に厚生労働省にパキロビッドの製造販売承認を申請し、同年2月10日に承認を取得した。

これに先立つ2月1日に、ファイザーは厚生労働省との間で、200万人分を日本に供給する最終合意書を締結した。

パキロビッドは新型コロナウイルスが増殖の際に必要とする3CLプロテアーゼと呼ばれる酵素の作用を阻害することで、ウイルスの複製を抑制する。

2022年中の製造可能量は1億2000万人分で、当初の計画から4000万人分増やしており、今後も受託製造の可能性の模索や、製造、供給支援のための投資を継続するという。

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文:M&A Online編集部

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