ヤマダですら大塚家具を立て直せなかった「ニトリの壁」

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大塚久美子前社長からヤマダに経営権が移っても大塚家具の再建は難しかった(Photo By Reuters)

ヤマダの力をもってしても、大塚家具は企業として存続できなかった。ヤマダホールディングス<9831>が2月14日、完全子会社の大塚家具を5月1日付けで同じく子会社のヤマダデンキが吸収合併すると発表したのだ。企業としての大塚家具は消滅するが、同社のブランドは維持する。大塚家具のノウハウや経営資源をヤマダに集約し、合併によるシームレスな営業を強化していくという。

「ニトリ1強」にヤマダの支援も届かず

ヤマダは大塚家具の販売支援を続けてきた(同社ホームページより)

大塚久美子前社長が経営から退き、ヤマダの資金力や経営ノウハウをもってしても家具販売が期待ほどの成果を挙げられず、ヤマダデンキの「家具売り場」として生き残る道を選択したものと思われる。つまり「誰がやっても成功しなかった」ということだ。

その理由は国内家具販売市場の「ニトリ1強」。ニトリホールディングス<9843>に対抗して国内で大規模な家具小売店を展開できるのは、もはや海外資本のイケアしかない。久美子前社長とのプロキシーファイト(委任状争奪戦)に敗れて実父の勝久元社長が立ち上げた匠大塚(埼玉県春日部市)も、関東と金沢市に5店舗を展開する小規模チェーンだ。

匠大塚を引き合いに出されて「家業を衰退させた」と批判される久美子前社長だが、大塚家具のスケールで経営を維持するのは勝久前社長でも難しかっただろう。そもそもニトリとの競争で大塚家具の業績が悪化したことが、社長交代の背景にあった。「娘がニトリに負けた」のではなく「親子してニトリに負けた」が正当な評価だろう。

仮にプロキシーファイトで勝久元社長が久美子前社長に勝利して経営に復帰したとしても、大塚家具の運命は変わらなかった可能性が極めて高い。帝国データバンクによると、2020年度の国内家具・インテリア販売市場(事業者売上高ベース)は、コロナ禍にもかかわらず前年度比6.1%増の約1兆5000億円と好調だったが、ニトリやIKEAなど大手が牽引(けんいん)した結果だという。

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