昨年のユニゾ争奪戦と違う?DCMとニトリの「島忠TOB戦争」

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ニトリとDCMが奪い合う島忠(大阪市鶴見区の「ホームズ鶴見店」、同社ホームページより)

島忠争奪戦は「泥沼化」するか?

ユニゾ争奪戦では買取価格の引き上げ合戦が過熱し、最終的には従業員による買収(EBO=エンプロイー・バイアウト)の6000円で決着。エイチ・アイ・エスの敵対的TOB発表前日の終値1990円の3倍以上に跳ね上がった。

DCMが買取価格を引き上げた場合、資金力で上回るニトリが再引き上げをするのは避けられない。DCMは「当初の予定どおり、TOBの期限を待つ」と静観の構えだが、現状のままではTOBは不成立となる。

DCMとしては体力に勝るニトリと泥沼のTOB合戦を繰り広げるよりも、20%を出資する持分法適用関連会社であるケーヨー<8168>との経営統合に方向転換する方が得策だろう。ケーヨーとの経営統合でもカインズ(埼玉県本庄市)を年間売上高で1000億円以上も上回り、業界トップを奪取できるからだ。

国内ホームセンターの直近年間売上高ランキング(単位:億円)

「買われる」側の島忠は29日、意見表明は避けながらも「ニトリの開示内容及び上記受領書面を精査したうえ、DCMのほか、ニトリとも誠実に協議等を行い、当社取締役会及び特別委員会において、当社の企業価値及び株主共同の利益の観点から慎重に検討を行った上、改めて当社の見解を公表させて頂く」と検討する姿勢を見せている。

ニトリは11月16日に期限を迎えるDCMによるTOBが不成立となってから買い付けを始める方針だ。島忠としてはDCMのTOBが不成立となれば、全国的な再編が進むホームセンター業界にあって単独での生き残りは難しく、ニトリの傘下に入るしかない。

ニトリは島忠ブランドの存続を約束しており、異業種企業の子会社となれば独立性が維持される可能性は高いだろう。しかも、親会社としてはDCMよりもニトリの方が企業規模、健全性ともに優良だ。現時点では「敵対的TOB」に見えるが、島忠にとってはニトリの方を「歓迎」したいのが本音かもしれない。敵対的TOBを仕掛けてきたエイチ・アイ・エスに徹底抗戦したユニゾとは正反対だ。

ユニゾ争奪戦は2019年7月に始まり、5回の買付期間延長を経て9カ月後の2020年4月に決着した。島忠をめぐるTOB合戦は、そこまで長期化しない可能性が高いだろう。そこが最も大きな違いかもしれない。

文:M&A Online編集部

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