上場企業の間で希望(早期)退職者を募集する動きがひっきりなしだ。1~6月(上期)では合計29社(一覧表を参照)に上り、昨年1年間の34社に早くも迫る。募集人数は約4700人に達する。世界的なコロナ感染拡大を受けて企業業績が厳しさを増す中、7月以降下期も希望退職者募集の流れが加速する公算が大きい。

レオパレス、今年最大の1000人

今年最大規模の約1000人を募集するのはレオパレス21だ。6月初めに計画を発表した。募集人数は単体社員約6000人のおよそ17%にあたる。35歳以上を対象に、募集期間は6月22日~7月31日。所定の金額に特別退職金を加算する。

同社は2020年3月期決算で802億円の最終赤字(前期は686億円の赤字)を計上した。主力の賃貸アパート事業を巡る施工不良問題を受け、入居率が悪化したうえ、補修工事費用が膨らみ、2年連続で巨額の最終赤字に沈んだ。非中核・不採算部門のホテル・リゾート事業、国際事業からの撤退と合わせ、希望退職者募集による人員適正化を進める方針だ。

今年最大規模の1000人を募集するレオパレス21(東京・中野坂上)

民事再生手続き中のアパレル名門、レナウンはグループを含めて全社員の3分の1にあたる約300人の希望退職者を募集した。最終的な募集結果は明らかにしていない。

同社が経営破綻したのは5月半ば。長年の業績不振に加え、新型コロナによる外出自粛や百貨店の臨時休業などで衣料品販売が激減し、資金繰りが行き詰まった。再生計画の策定は8月を期限としているが、その要となるスポンサー企業探しの難航も伝えられている。

ラオックスはコロナ直撃で250人を追加募集

新型コロナ感染の影響が直撃したのは免税店大手のラオックス、インバウンド(訪日観光客)専門旅行会社のHANATOUR JAPANだ。ラオックスは中国、HANATOURは韓国からの観光客をそれぞれメーンとする。

ラオックスは6月末、契約社員を含む全社員を対象に250人程度を追加募集すると発表した。2月に子会社1社と合わせ160人程度を募集(111人応募)したのに次ぐ第二弾だ。訪日観光客が途絶えたままの状況が続き、再募集では人数が拡大した。一方、HANATOURは日韓関係悪化で昨年来、需要が落ち込んでいたところに、新型コロナが加わり、3月に30人程度募集(24人応募)した。

フリーペーパー大手、ぱども今年2度の募集を余儀なくされた。それも5月中に募集を2度行う異例の展開だ。100人程度を募り、105人が応じたが、足元の業況が想定を大きく下回る状況にあるとして月末に70人を追加募集した。同社は2017年にRIZAPグループの傘下に入り、再建を目指したが、昨年末にRIZAPグループから離脱した。

一方、募集期間を2度延長したのは芝浦機械(旧東芝機械)だ。当初の募集期間は3月中旬~4月上旬。新型コロナに伴う在宅勤務や交代勤務などで従業員との意思疎通が十分に行えないとして6月末に延長したが、さらに7月29日まで再延長した。200~300人程度の募集人員に変更はない。

募集人数は実質5000人を突破

今年に入り希望退職者募集を発表した上場企業は6月末で29社を数え、前年同期(12社)の2.5倍。半年で2019年通年(1~12月)の34社に迫るハイペースだ。

募集人員は4680人(予定数の公表分のみ)に上る。サッポロホールディングス(連結従業員約7700人)は人数を定めずに募集するほか、リズム時計工業(同3100人)は人員未定、オーミケンシ(同約250人)は全従業員を対象に勇退勧奨することにしており、これらを加味すれば、実質的に5000人を突破しているのは確実だ。

緊急事態宣言の解除を受け、経済活動は徐々に動き出しているものの、感染の「第二波」も懸念される中、飲食や小売り、娯楽・観光、陸運といったコロナ関連業種を中心に人員削減圧力がさらに強まるおそれがある。

◎2020年1~6月:希望退職者の募集を発表した企業(HDはホールディングス)

6月レオパレス21約1000人(6月22日~7月31日)
フレンドリー110人程度(6月中旬以降一定期間)
三共生興約30人(7月20日~31日)
第一商品100人(6月23日~7月10日)
ダイヤモンドエレクトリックHD150人程度(8月3日~26日)
ラオックス(2月に続き今年2度目)250人程度(7月1日~31日)
5月さいか屋120人程度(6月下旬)→?
東京製綱中国・常州工場が対象。5月11日から実施
ぱど100人程度(5月14日~20日)→105人応募 ※追加募集70人程度(5月28日~6月3日)→73人応募
オーミケンシ全従業員を対象に勇退勧奨(10月末日退職)
リズム時計工業8月に募集(人員規模は未定)
レナウン300人程度(6月4日~11日)→?
タチエス250人(7月20日~8月7日)
岡本硝子20人弱(6月1日~17日)→16人応募
4月 廣済堂240人程度(6月15日~7月3日)
3月東海染工20人程度(3月9日~16日)→14人応募
ユニバンス200人程度(3月中~7月末)
HANATOUR JAPAN30人程度(3月24日~30日)→24人応募
日本ケミコン100人程度(4月10日~30日)→157人応募
2月東芝機械200~300人規模(3月中旬~4月初旬)→?
シチズン時計200人程度(子会社のシチズン電子など2社で)
サッポロHD定めず(5月1日~7月10日、10月1日~12月10日)
ラオックス160人程度(2月17日~3月6日)→111人応募
NISSHA250人程度(4月28日~5月15日)→268人応募
三井E&S HD200人(6月1日~15日、千葉工場での造船事業終了に伴う)→?
1月ジオマテック40人(2月3日~3月2日)→?
リョーサン80人程度(2月3日~14日)→62人応募
曙ブレーキ工業200人(2月24日~3月23日)→154人応募
片倉工業100人程度(3月9日~19日)→138人応募
佐鳥電機60人程度(3月16日~31日)→46人応募

文:M&A Online編集部