LIXILグループの上場子会社で、その“去就”が注目されていたホームセンター中堅、LIXILビバの身の振り方が決まった。新潟県を地盤とする同業のアークランドサカモトが買収することになった。買収金額は1085億円に上り、今年発表された国内企業同士のM&Aとして最大規模だ。

ホームセンター業界で現在、アークランドサカモトは第11位、LIXILビバは第6位で、小が大を飲む構図だが、両社合計の売上高は3000億円を突破し、大手勢の一角に食い込む。

LIXILグループが566億円で売却

LIXILグループは昨年6月に経営トップに返り咲いた瀬戸欣哉社長兼CEOのもとで、基幹事業である建材・住設機器事業に経営資源を集中する姿勢を鮮明にしている。

傘下のLIXILビバは流通・小売り事業を担っているが、LIXILグループとの取引は仕入総額の3.3%程度に過ぎず、事業シナジー(相乗効果)に乏しいことから、非中核事業と位置づけ、切り離しを検討していた。LIXILビバは首都圏に多数の店舗を持ち、首都圏進出を目指すアークランドサカモトとの利害が一致した。

LIXILグループの本社(東京都江東区)

アークランドは約1085億円で全株式を取得し、完全子会社化するが、そのスキームはTOB(株式公開買い付け)と自己株取得との組み合わせだ。

LIXILビバの株式はLIXILグループが53.22%、アークランドが1.33%を所有している。アークランドは519億円を投じて、残りの45.45%をTOBで買い付ける。そのうえでLIXILグループが所有する全株式について、LIXILビバが566億円で自己株取得する。LIXILグループは同額のキャッシュを得る。アークランドはLIXILビバに自己株取得のための資金を提供する。

店舗数はアークランドが新潟県をはじめ日本海側を中心に38店舗、LIXILビバが関東を主体に東海、近畿などに100店舗。エリア重複が少ないうえ、未出店エリアが20県あり、出店余力も十分にあるとみている。

ホームセンターの競争力の源泉とされるPB(自社企画)商品の比率はアークランド10%、LIXILビバ26%にとどまる。共同開発を促進し、PB比率を40%に高める方針だ。

大手の一角へ、塗り替わる業界地図

アークランドは10月までにLIXILビバの子会社化を完了し、その後、持ち株会社制への移行を目指す。アークランドはとんかつ専門店「かつや」で知られるアークランドサービスホールディングスを上場子会社に持つ。

直近売上高はアークランドが1127億円(ホームセンター部門以外を含む)、LIXILビバが1885億円。統合新会社はカインズ、DCMホールディングス、コーナン商事、コメリに続く業界5位に躍進する。

ホームセンター業界は人口減や家電量販店、ドラッグストアなど他業態との競争激化で成長が鈍化している。2017年にはホーマック、カーマ、ダイキの3社が経営統合してDCMホールディングスが発足し、カインズと業界トップを争う。関西地盤のコーナン商事もM&Aをテコに首都圏での攻勢に出ている。

こうした中、下克上ともいえるアークランドによるLIXILビバ買収劇は業界再編の呼び水となる可能性もある。

ビバ売却で「創業家」色も一掃

LIXILビバは1977年、アルミサッシ大手のトーヨーサッシ(現LIXILグループ)の子会社として発足し、ホームセンター事業に乗り出した。1987年に東証2部(89年に東証1部)に上場。2001年にトステム(現LIXILグループ)が吸収合併し、上場廃止となったが、グループ内の再編を経て2017年に東証1部に再上場した。

ただ、ビバはLIXILグループにとってはある種、特別な存在。トーヨーサッシ創業者の故潮田健次郎氏の肝いりで設立され、同氏の長男である潮田洋一郎氏が帝王学を学ぶため1991年から一時、ビバの社長を務めたことがある。

その創業家の洋一郎氏が外部からスカウトして経営を託したのがLIXILグループ現社長兼CEOの瀬戸氏。ところが、トップ人事をめぐる両氏の対立で会社が内紛状態に陥り、昨年6月の株主総会で瀬戸氏側の勝利で決着したのは記憶に新しい。

瀬戸氏率いるLIXILグループにとって今回のビバ売却は親子上場解消という大義名分があるが、創業家色を一掃する狙いも多分にありそうだ。

◎ホームセンター業界の主要各社(直近決算期の売上高、単位は億円)

順位社名売上高
1 カインズ 4410
2 DCMホールディングス 4374
3 コーナン商事 3746
4 コメリ 3486
5 アークランドサカモト+LIXILビバ 3012
6 ナフコ 2178
7 ジョイフル本田 1531
8 島忠 1464
9 アレンザホールディングス 1377
10 綿半ホールディングス 1202
11 ケーヨー 1076

文:M&A Online編集部