群馬県のモノづくり企業を代表するミツバ(桐生市)とサンデンホールディングス(伊勢崎市)が苦境に立っている。自動車部品メーカーのミツバは国内2工場の閉鎖や500人規模の希望退職者募集などを柱とする事業構造改革を発表。一方、カーエアコン大手のサンデンは私的整理の一種である事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請した。両社に何が起きているのか?

売上高でヤマダ電機に続く2位・3位

群馬県には20社を超える上場企業が本社を置き、売上高ナンバーワンは家電量販店最大手のヤマダ電機(高崎市)で、1兆6000億円余りを誇る。2位、3位をミツバ(2020年3月期売上高3042億円)とサンデン(同2048億円)が占め、両社が県内製造業のトップに立つ。

群馬県といえば、SUBARUの企業城下町として太田市が知られるが、SUBARUの本社そのものは東京都にある。

ミツバ、サンデンに共通するのは自動車業界を主要顧客とし、海外売上高比率が60%を超える点。両社とも再建途上だったところに、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて需要が急減し、海外工場の稼働休止を余儀なくされたことなどで業績がさらに悪化した。

ミツバ、500人規模の希望退職者を募集

ミツバは7月15日、子会社を含めて国内約500人の希望退職者を募集すると発表した。新潟工場(新潟県南魚沼市、従業員182人)と子会社の落合製作所(群馬県富岡市、同63人)の2工場を閉鎖し、海外では米欧で拠点統廃合を進め、中国市場での体制を強化する。

希望退職者は40~60歳の正社員を中心に、8月24日~9月11日に募集する。退職日は10月31日付。今年に入り希望退職者募集を発表した上場企業は30社を超えるが、500人規模はレオパレス21の約1000人に次ぐ2番目の大きさだ。

財務改善に向け、事業再生ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS、東京都千代田区)から200億円の出資を受け入れる。JISは日本政策投資銀行と三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクが共同で設立し、シャープ、曙ブレーキ、日本板硝子、常磐興産などへの投資実績がある。

ミツバは自動車ワイパーモーターなどを主力とし、納入先としてはホンダのウエートが大きい。2020年3月期の最終赤字はリストラ費用がかさみ138億400万円と前期の倍に膨らんだ。赤字は3年連続。2025年3月期までの5年間を事業構造改革期間とし、経営立て直しを目指す。

サンデン、スポンサー企業探しを急ぐ

サンデンが6月末に申請した事業再生ADRは裁判所を介さないため、民事再生法などの法的整理に比べ、スピーディーな再建が可能とされる制度。7月14日開いた第1回債権者会議では取引金融機関から約800億円の借入金元本の返済一時停止について同意を得た。資金繰りに万全を期すため、つなぎ融資の支援も取り付けた。12月に予定する事業再生計画の策定に向け、そのかなめとなるスポンサー企業探しを急ぐ。

同社は昨年10月、店舗用冷蔵・冷凍ショーケース、自動販売機などの流通システム事業を約500億円で投資ファンドに売却し、カーエアコン部品を中心とする自動車機器に集中する経営改革を断行。さらに200人規模の希望退職者も募った。

そうした再建途上にある同社を直撃したのがコロナ感染。日本からの出荷減に加え、欧州や中国、インドなど主要工場で安定操業再開の見通しが立たない状況にあることから、事業再生ADRの申請に踏み切った。

2020年3月期の最終損益は22億8700万円の黒字(前期は230億6000万円の赤字)だったが、流通システム事業の切り離しによる売却益約250億円があったためで、これを差し引けば、実質的には大赤字だ。

サンデンは2017年3月期を境に経営が暗転した。欧州でのカルテル行為に伴う多額の課徴金や為替差損で巨額赤字を計上し、旧東京本社ビル売却、希望退職者募集、国内外の拠点再編などに迫られ、以降、リストラに次ぐリストラに追われてきた。

ミツバは1946年に三ツ葉電機製作所、サンデンは1943年に三共電器としてスタートし、戦後の群馬産業界を引っ張ってきた名門。両雄の復活を待ち望んでいるのはむろん群馬県民だけではない。

群馬県庁(前橋市)

文:M&A Online編集部