2020年後半に入った7月も産業界では希望退職者を募集する動きが加速した。シチズン時計、ミツバの製造業2社が500人規模で募集するのをはじめ、6社が計画を発表した。外食チェーン大手のペッパーフードサービスは主力の「いきなり!ステーキ」事業で200人程度を募る。

今年に入り、希望退職者の募集を発表した上場企業は34社(延べ37社)に上り、5カ月を残して昨年1年間(36社)に並ぶハイペースだ。新型コロナ感染の再拡大による「第二波」到来の懸念とともに、企業業績の回復が遠のいており、人員削減圧力がさらに増すおそれがある。

シチズン時計、レオパレスに次ぐ550人

シチズン時計は7月28日、550人の希望退職者を募集すると発表した。対象は時計事業の中核子会社であるシチズン時計マニュファクチャリング(埼玉県所沢市)。ウエラブル端末(スマートウオッチ)の台頭などで、主力のアナログクオーツウオッチ市場が縮小し、業績が悪化している。

550人の募集規模は今年に入り、レオパレス21の約1000人に次ぐ2番目。当該子会社の従業員の2割近くにあたる。募集期間は10月14日~11月18日(退職日は12月31日)。所定の退職金に転進支援金を上乗せ支給する。今回とは別に、シチズン時計は2月に、他の子会社2社で200人程度の希望退職者募集を発表した。

シチズン時計の2020年3月期決算は売上高が13%減の2785億円と2ケタの落ち込みとなり、最終損益は166億円の赤字に転落した。最終赤字は7年ぶり。

「いきなり!ステーキ」で200人募集

経営再建に向けて抜本策を打ち出したのがペッパーフードサービスだ。7月3日、主力の「ペッパーランチ」事業を投資ファンドのJ-STAR(東京都千代田区)に85億円で売却し、もう一方の柱である「いきなり!ステーキ」事業に経営資源を集中すると発表した。この一環として「いきなり!ステーキ」を中心に114店舗を閉鎖するのに伴い、約200人の希望退職者を7月31日まで募った。

7月31日発表した2020年1~6月期業績は売上高が前年同期比47%減の184億円と半減し、最終赤字79億円(前年同期は5億円の黒字)に転落した。「いきなり!ステーキ」は売上高の約8割を占めるが、出店を急拡大した結果、同一エリア内で競合するなど弊害が表面化。コロナ禍が加わり、業績悪化に歯止めがかからない状態にある。5月末の国内店舗は「いきなり!ステーキ」414、「ペッパーランチ」189。

ペッパーフードサービスが展開する「いきなり!ステーキ」(都内の店舗)

三菱自動車、間接部門で実施へ

自動車部品メーカーのミツバは子会社を含めて40歳~60歳の正社員を中心に国内約500人を募る。募集は8月24日から9月11日まで。新潟工場(新潟県南魚沼市)など2カ所の国内生産拠点を閉鎖する。ミツバの上場子会社であるタツミも30人程度の希望退職者を募る。

ミツバは自動車用ワイパーモーターなどを主力とする。2020年3月期まで3年連続で最終赤字に陥り、25年3月期までの5年間を事業構造改革期間として経営立て直しを目指す。

医薬品メーカーの日本ケミファは支店・営業所に勤務する医薬営業部門を対象とし、30人程度を8月中に募る。主力の後発医薬品をめぐる競争激化や薬価制度改革を受け、経営環境が厳しさを増しており、営業拠点の統廃合に取り組む。

三菱自動車は先に、2021年3月期の最終損益が3600億円の赤字になる見通しを発表した。最終赤字は前期の257億円から2年連続。構造改革を進め、固定費を21年度末までに19年度比2割以上削減する方針で、間接部門については人件費圧縮のため、新規採用抑制や希望退職制度の実施を盛り込んだ。

今年の募集規模すでに6000人に

今年に入り、希望退職者募集を発表した上場企業は7月末で少なくとも34社(ぱど、ラオックス、シチズン時計は各2回)を数え、早くも前年の36社とほぼ並んだ。募集人員は5990人(予定数の公表分を集計)。人数を定めず募集するところや、人数未定のケースもあり、これらを含めると7000人に迫るとみられる。三菱自動車も今後、募集人数などを詰める。

◎2020年1~7月:希望退職者の募集を発表した企業(HDはホールディングス)

7月 ペッパーフードサービス 200人程度(7月6日~31日)
ミツバ 500人程度(8月24日~9月11日)
タツミ 30人程度(8月24日~9月11日)
日本ケミファ 30人程度(8月7日~28日)
三菱自動車 間接部門で実施予定
シチズン時計(今年2度目)550人(10月14日~11月18日)
6月 レオパレス21 約1000人(6月22日~7月31日)
フレンドリー 110人程度(6月中旬以降一定期間)
三共生興 約30人(7月20日~31日)
第一商品 100人(6月23日~7月10日)
ダイヤモンドエレクトリックHD 150人程度(8月3日~26日)
ラオックス(今年2度目) 250人程度(7月1日~31日)
5月 さいか屋 120人程度(6月下旬)→?
東京製綱 中国・常州工場が対象。5月11日から実施
ぱど 100人程度(5月14日~20日)→105人応募 ※追加募集70人程度(5月28日~6月3日)→73人応募
オーミケンシ 全従業員を対象に勇退勧奨(10月末日退職)
リズム時計工業 8月に募集(人員規模は未定)
レナウン 300人程度(6月4日~11日)→約180人
タチエス 250人(7月20日~8月7日)
岡本硝子 20人弱(6月1日~17日)→16人応募
4月  廣済堂 240人程度(6月15日~7月3日)→230人応募
3月 東海染工 20人程度(3月9日~16日)→14人応募
ユニバンス 200人程度(3月中~7月末)
HANATOUR JAPAN 30人程度(3月24日~30日)→24人応募
日本ケミコン 100人程度(4月10日~30日)→157人応募
2月 芝浦機械 200~300人規模(3月中旬~7月29日)→?
シチズン時計 200人程度(子会社のシチズン電子など2社で)
サッポロHD 定めず(5月1日~7月10日→51人応募、10月1日~12月10日)
ラオックス 160人程度(2月17日~3月6日)→111人応募
NISSHA 250人程度(4月28日~5月15日)→268人応募
三井E&S HD 200人(6月1日~15日、千葉工場での造船事業終了に伴う)→?
1月 ジオマテック 40人(2月3日~3月2日)→?
リョーサン 80人程度(2月3日~14日)→62人応募
曙ブレーキ工業 200人(2月24日~3月23日)→154人応募
片倉工業 100人程度(3月9日~19日)→138人応募
佐鳥電機60人程度(3月16日~31日)→46人応募

文:M&A Online編集部