新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による景気低迷が長期化する中、「のれん代」を減損処理する企業が増えている。「のれん減損」で大幅赤字に転落するケースも珍しくない。2020年は「のれん減損」ラッシュになりそうだ。

のれん減損」処理で巨額赤字に転落

のれん代」とはM&A(買収)する際に買収された企業の純資産に上乗せした金額で、親会社となる買い手企業がブランド力や成長期待分などを評価した付加価値のこと。純資産100億円の企業を150億円で買収したとすれば、50億円が「のれん代」になる。

買収後にブランド力が毀損(きそん)したり予想を下回る業績しか残せなかったりした場合は、買収した企業の帳簿上の価値を下げる減損処理をしなくてはならない。これが「のれん減損」だ。コロナ禍による景気低迷で、業種を問わず多くの企業が業績不振に陥っている。買収された企業も例外ではない。

コロナ禍で業績が低迷すれば、買収された企業の業績が落ち込み、買収した親会社は子会社の「のれん減損」を余儀なくされる。これがコロナ禍による「のれん減損」ラッシュの第一の原因だ。実際、2020年に入り新型コロナ感染拡大が深刻になると「のれん減損」の発表が相次いだ。

3月に大手総合商社の丸紅<8002>は、2013年に36億ドル(当時の為替レートで約2860億円)で買収した米穀物大手ガビロンで800億円の減損処理に踏み切った。これまでもガビロンの減損処理は実施されており、これで当初は約1000億円だったガビロンの「のれん代」評価は0円になっている。「のれん減損」の結果、丸紅の2020年3月期最終損益は前期の2308億円の黒字から、1974億円の赤字に転落した。

4月に大手電子部品メーカーの太陽誘電<6976>も、2019年1月に株式交換で完全子会社化した自動車部品用アルミ電解コンデンサーを手がけるエルナー(横浜市)で、2020年3月期に約52億円の「のれん減損」処理を実施した。その結果、太陽誘電の同期連結純利益は従来予想の前期比約6%増の250億円から一転、同約25%減の178億円と3年ぶりの減益に。

5月には三菱重工業<7011>が、2020年6月に買収したカナダ航空機大手ボンバルディアの小型機「CRJ」の保守・カスタマーサポート・マーケティング・販売・型式証明などの事業について、2021年3月期連結決算で500~700億円程度の「のれん減損」処理すると発表した。すでに2020年4~6月期の時点で三菱重工業の連結最終損益は「のれん減損」もあり、前年同期の163億円の黒字から579億円の赤字に転落している。