米電気自動車(EV)専業メーカーであるテスラの時価総額が2020年7月1日、2105億ドル(約22兆6000億円)まで上昇し、同日に21兆7185億円だったトヨタ自動車<7203>を抜いて自動車業界の世界首位に躍り出た。

わずか半年で2倍の格差を克服

テスラの時価総額は1月22日に約1027億ドル(約11兆2500億円)と1000億ドルの大台を突破し、独フォルクスワーゲン(時価総額約996億ドル=約10兆9000億円)を追い抜き世界2位となった。その時はトヨタ(約25兆6900億円)の半分以下だったが、半年も経たずに追い抜いたことになる。

テスラの2019年の世界販売台数は約36万7500台と、同1074万台のトヨタの29分の1にすぎない。さらに2019年7~9月期以降は3四半期連続で最終黒字を計上しているが、これまで一度も通期での最終黒字を出してないことから「期待先行」との声もある。

しかし、そうした「異常事態」が起こったということは、株式市場が自動車業界に何らかのシグナルを送っているはずだ。それは何か?

EV専業のテスラの時価総額が上昇したのは、株式市場が自動車の「エネルギーシフト」に注目していることを意味する。これまでは「CO2(二酸化炭素)排出削減」などの環境対策として注目されてきたが、株式市場の思惑はもっと「リアル」だ。

4月20日に米ニューヨーク商業取引所で米国産WTI原油の先物価格(5月物)が一時1バレル(約117リットル)−40.32ドル(約−4330円)まで下落し、同−37.63ドル(約−4040円)と史上初のマイナス価格で取引を終えた

本来なら石油価格の下落はガソリン価格の値下げにつながり、ガソリンエンジン車にとっては「追い風」のはず。テスラにとっては「逆風」のはずだ。ところがそうはならなかった。理由は石油価格が「下がりすぎた」からだ。

石油に限らないが、商品価格の下落が進みすぎるとビジネスとしてのうま味はなくなる。ガソリン販売が儲からないとなると撤退が相次ぎ、ガソリンスタンドが減少。ガソリンを燃料とするエンジン車は給油が困難になり、販売が先細りになる。