「新型コロナ」下、アパレル不況の加速とともに、上場アパレル各社に希望退職者募集が広がっている。「ナノ・ユニバース」などを展開するTSIホールディングスは9月半ばに300人規模の計画を発表した。

これにより、オンワードホールディングス、ワールドを合わせた大手3社が今年に入り、そろって希望退職者の募集に踏み切る異例の事態となった。5月には名門のレナウンが経営破たんしており、アパレル“総崩れ”の様相だ。

TSIホールディングスは300人募る

アパレル各社は主要販路の百貨店、量販店での売り上げが低迷していたところに、新型コロナウイルス感染拡大による影響が重なり、店舗閉鎖など事業縮小に合わせて大規模な人員削減が相次いでいる。

業界3位のTSIホールディングスは9月16日にグループ全体の本部部門で約300人の希望退職者を募ると発表した。40歳以上の正社員、契約社員、パート・アルバイトを対象とし、募集期間は10月1日~2021年2月末。本部のスリム化と機能重複の解消などを狙いとする。

2021年2月期業績は予想困難としているが、2年ぶりの最終赤字転落が見込まれている。2020年3~8月(上期)は88店舗を閉店し、下期はさらに122店舗の閉店を計画(2021年2月末に1074店舗見込み)。

同社は2011年に東京スタイルとサンエー・インターナショナルが経営統合して発足した。希望退職者の募集は2015年以来5年ぶりで、前回は528人が応募した。

ワールドも5年ぶりに募集

やはり5年ぶりの募集(前回453人応募)となったのが業界2位のワールドだ。募集人員は約200人で、40歳以上を対象に9月14日に募集を始めた(月末まで)。女性・キッズ向け「ハッシュアッシュ」など5ブランドの廃止に伴う214店舗を含む合計358店舗を2021年3月期中に閉店するのに伴う措置だが、店舗従事者(販売員)は再配置を前提に対象外とする。

新型コロナ感染を受け、「ファッション産業に内在していた供給過剰の矛盾が一気に現実化した」として従来計画を大幅に前倒しし、構造改革のスピードを加速する。

ワールドは2018年に13年ぶりに再上場したばかり。2021年3月期は期初段階で60億円の最終赤字転落を予想していたが、その後、見通しは困難に変更した。

オンワード、コロナ前の1月に初実施

業界トップのオンワードホールディングスは今年1月に約350人を募ったところ、想定を約2割上回る413人が応募した。

オンワードは「23区」「組曲」「自由区」などの有力基幹ブランドを展開するが、主力販路の百貨店での売り上げ不振などで業績が悪化。不採算店舗の閉鎖や一部ブランドの廃止、欧米やアジアでの事業縮小を柱とする構造改革の一環して、初めての希望退職者募集に踏み切った。

その実施時期は新型コロナの感染拡大以前。ただ、コロナの影響は想定外だっただけに、足元の2021年2月期は2期連続の最終赤字(前期は521億円の赤字)となる見込みだ。