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「希望退職者募集」ぶり返した? 5月は今年最多の5社
上場企業による希望退職者募集の動きがここへきてぶり返した。5月はタキヒヨーの約150人を筆頭に5社が計画を発表した。2月2社、3月、4月が各1社にとどまっていたが、1月の4社を上回る今年最多となった。
上場企業による希望退職者募集(計画ベース)の動きが4年ぶりに止まった。適時開示情報などをもとに調べたところ、希望退職者募集の発表は2018年9月以来今年7月まで47カ月連続していたが、この8月はゼロで、いったん終止符を打つ形になった。
ただ、足元では資源高・円安による輸入コストの増加が国内景気の重しとなる中、リストラ圧力はくすぶったままで、9月以降の展開が注目される。
今年1~8月に希望退職者募集を発表した上場企業は16社(一覧表)で、前年同期(35社)と比べて半減している。7月15日に発表した櫻護謨を最後とし、8月末まで新たな動きは見られなかった。
今回ほぼ4年にわたって続いた希望退職者募集の始まりは2018年9月にさかのぼり、三陽商会が250人程度、医学生物学研究所が30人程度、マーベラスが40人程度を募集すると発表した。このうち、三陽商会は2021年1月にも150人程度の追加募集に踏み切った。
上場企業の希望退職者募集はコロナ禍初年の2020年は少なくとも年間93社を数え、前の年の2.6倍に拡大した。ピークだった2020年11月は月間で16社に上った。2021年は4割以上減ったとはいえ、年間50社を超えた。2022年に入ると、鈍化傾向は強まっていた。
この4年間で希望退職者が1000人規模となったのはレオパレス21(1067人応募)、LIXIL(1200人募集→965人応募)、日立金属(1030人募集→応募数は非公表)、KNT‐CTホールディングス(1376人応募)、JT(1169人応募)、富士通(3031人応募)の6社だった。
◎2022年1月~:希望退職者の募集を発表した上場企業
発表月 | 企業名 | 募集人数(期間)など |
---|---|---|
8月 | ー | ー |
7月 | 櫻護謨 | 10人程度(8月22日~9月9日) |
6月 | 日本ペイントホールディングス | 定めず(2022年9月) |
〃 | ヘリオス | 30人(6月14日~28日)→20人応募 |
5月 | 大幸薬品 | 30人程度(6月13日~22日)→24人応募 |
〃 | PHCホールディングス | 人数は定めず(8月1日~10日) |
〃 | タキヒヨー | 150人程度(5月30日~6月30日)→95人応募 |
〃 | シャルレ | 25人程度(5月19日~31日)→38人応募 |
〃 | 旅工房 | 70人程度(6月1日~7月8日)→28人応募 |
4月 | 日本高周波鋼業 | 子会社の高周波精密で60人程度(9月16日~30日) |
3月 | 津田駒工業 | 100人程度(5月9日~20日)→48人応募 |
2月 |
富士通 |
セルフ・プロデュース支援制度に基づく→3031人応募 |
〃 |
日本アンテナ |
50人程度(2月9日~3月11日)→36人応募 |
1月 |
平和 |
250人程度(1月18日~2月18日)→255人応募 |
〃 |
協栄産業 |
30人程度(2月7日~28日)→27人応募 |
〃 |
スーパーバッグ |
40人程度(1月24日~2月4日)→19人応募 |
〃 |
昭文社ホールディングス |
非公表(2月1日~18日)→19人応募 |
文:M&A Online編集部
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上場企業による希望退職者募集の動きがここへきてぶり返した。5月はタキヒヨーの約150人を筆頭に5社が計画を発表した。2月2社、3月、4月が各1社にとどまっていたが、1月の4社を上回る今年最多となった。