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アマゾンは、なぜ「ルンバ」に手を出したのか?
お掃除ロボットを自社開発へ。米アマゾンが米家庭用ロボット掃除機最大手iRobotを買収すると発表した。買収総額は約17億ドル(約2290億円)で、アングル経営最高責任者(CEO)は残留する。アマゾンがロボット掃除機を傘下に入れた狙いは何か?
オンラインストアなどを運営する米国のアマゾン(ワシントン州)が、化粧品口コミサイト「@cosme」や、実店舗「@cosme STORE」などを運営する日本企業のアイスタイル<3660>に資本参加することになった。
アイスタイルが発行する新株予約権などを引き受けることなどで36.95%を保有し、筆頭株主になる計画だ。
これまでアマゾンは日本企業への出資に積極的とは言えなかったが、化粧品のオンラインストアとしての存在感を高めることを狙いに、日本国内で知名度のあるアイスタイルと手を組むことにした。
世界で最も影響力のある企業の一つとまで言われるアマゾンが、価値を認めたアイスタイルとはどのような企業なのだろうか。
アイスタイルは、「@cosme」を基盤とする「On Platform事業」、化粧品EC(電子商取引)サイト「@cosme SHOPPING」や、実店舗の化粧品専門店「@cosme STORE」などの「Beauty Service事業」、外国で展開するEC、小売りなどの「Global事業」、美容部員を派遣する人材派遣事業と投資育成事業の「その他事業」の4分野から成る。
コスメ情報ポータルサイトとして立ち上げた「@cosme」が創業の事業で、同事業を含む2022年6月期の「On Platform事業」の売上高は73億1700万円、全売上高に占める割合は21%ほどだった。
最も売り上げが大きいのが、ECや実店舗による「Beauty Service事業」で、同期の売上高は219億200万円で、全売上高の64%ほどを占めた。「Global事業」の売上高は42億4700万円で、売上高構成比は12%ほど、「その他事業」の売上高は9億3500万円で、売上高構成比は3%ほどだった。
1999年創業の同社は、3年後の2002年にEC事業に、8年後の2007年に実店舗事業に乗り出し、2012年には東京証券取引所マザーズ市場に上場。その後急速に成長し、2019年6月期には売上高が300億円を突破した。
ところが、コロナ禍で業績が悪化、2020年6月期に営業赤字に転落して以来、3期連続で水面下に沈んでいる。この苦境にもようやく回復の兆しが現れており、2023年6月期の売上高は400億円(前年度比16.3%増)と初の400億円台を予想しており、営業利益は5億円(前年度は4億5300万円の赤字)、経常利益は1億7000万円(同5億9300万円の赤字)、当期利益は3000万円(同5億7100万円の赤字)といずれも黒字転換を見込む。
ここにアマゾンとの資本業務提携の効果が加わる。アマゾンのオンラインストア内に「@cosme SHOPPING (仮称)」を開設し、コスメ、美容に関する様々な情報を提供するとともに、幅広いブランドの化粧品を販売していく計画で、これが軌道に乗れば、当初予想よりも上振れする可能性は高い。
一方、アマゾンはアイスタイルのコスメや美容に特化した口コミや品ぞろえ、店舗づくりの知見を活用して、顧客の利便性や満足度を高めていくことにしており、今一つ存在感の薄いコスメや美容の分野でも知名度を高めていく作戦だ。
アイスタイルはアマゾンと同時に三井物産とも資本業務提携し、三井物産のネットワークを活かしたECや実店舗でのサプライチェーンの構築、Global事業でのパートナー発掘などに取り組む。
アイスタイルは今回の提携などを通じて、総額180億円強を調達する見通しで、この資金をどのように活用するのか。今後の成長戦略に注目が集まりそうだ。
文:M&A Online編集部
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