M&A市場に“夏枯れ”到来? 7月は件数・金額とも最低水準

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コクヨは約94億円を投じて香港企業を買収することに…写真はコクヨ東京品川オフィス

2022年下期入りした7月のM&A市場(適時開示ベース)が“夏枯れ”の様相を呈している。3週間を過ぎた7月22日時点のM&A件数は28件と、前年の同期間(45件)を17件下回る。一方、取引金額は253億円にとどまり、100億円を超える大型案件もここまでゼロだ。

7月M&Aの平均件数は60件

7月のM&A件数を2012年から2021年までの過去10年間でみると、累計602件で、平均は60件強。M&A Online編集部が上場企業の適時開示情報をもとに経営権の異動を伴うM&A(グループ内再編は除く)について集計した。

7月として最も件数が少なかったのは2015年、16年の各52件。17年以降は5年連続で60件を超えている。7月を他の月と比べても極端に少ないというわけではない。ただ、月間の取引金額は2020年788億円、21年493億円と1000億円台を下回る低水準が2年連続している。

2022年上期(1~6月)のM&Aは全体として好調に推移し、下期を迎えた。ところが、7月に入ると件数、金額ともにここまで極端に冷え込んでいる。

M&A件数は月末にかけて積み上がる傾向がある。このため、残す1週間で現時点の28件から少なくとも40件台に乗せる見通しだが、前年7月実績の62件には到底届きそうにない。

逆に、件数が伸びず、30件台にとどまるようであれば、2018年6月の34件以来となる。

7月分は22日時点。適時開示ベース

このまま「100億円超」ゼロだと、9年ぶり

上期のM&A件数は前年同期比12件増の458件で、リーマンショック(2008年)後の年間最多を記録した前年を上回るハイペースを示した。5月までのトータルでは前年を下回っていたが、上期最後の6月の件数が大幅に増加したことから、プラスに転じた。内容的にはウクライナ危機、急激な円安が続く中、国境をまたぐ海外M&Aが落ち込み、国内M&A主導の展開が鮮明になっている。

取引金額は上期全体で3兆68億円。前年上期(5兆3936億円)を4割以上下回るが、月間平均は5000億円。これに対し、足元の7月の金額は現状253億円と底をはう状況にある。

前年7月に2件あった100億円超の大型案件もここまで見当たらず、コクヨが香港のオフィス家具メーカーHNI Hong Kongの全株式を約94億円で取得して子会社化する案件がトップ。これに、森永乳業が約77億円を投じて、パキスタンで育児用調整粉乳を製造する合弁会社NutriCo Morinaga(カラチ)を子会社化する案件が続く。

100億円を超える大型案件は上期中、44件あった。仮に、この7月に100億円超の案件がゼロに終われば、2013年5月以来9年ぶりとなる。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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