「会計不正」という言葉は、2015年以降、広く世間の口の端に上るようになりました。Google Trendsで検索数の動向をチェックしてみると、2015年7月に突出していることがわかります。これには東芝<6502>の会計不正事件が影響しているものと考えられます。

こうした会計不祥事の中には報道で大きく取り上げられていないものもあります。日本公認会計士協会が2019年6月に公表した「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」では、上場企業における近年の会計不正の実態が取りまとめられています。今回はこの研究資料に沿って会計不正の動向を概観してみたいと思います。

【Goolgle Trendsによる「会計不正」というキーワードの動向】

(画像:Google Trends)

会計不正には2種類ある

 会計不正は大きく「粉飾決算」と「資産の流用」に分類されます。このうち「粉飾決算」は、簡単にいうと、財務諸表の利用者を欺くため意図的に虚偽の表示を行うことを指します。これに対して、「資産の流用」は現金を着服したり、資産を横流ししたりすることを指します。

「資産の流用」はそれを隠蔽するために「粉飾決算」を伴うことがあり、両者を明確に区分できない場合もあります。そのため、研究資料においては、いずれかに明確に区分できないものは「粉飾決算」に含めて集計されています。

 一般に、「資産の流用」よりも「粉飾決算」の方が影響額が多額になります。そのため、上場企業等が適時開示基準に従って公表する件数も「粉飾決算」の方が多くなる傾向にあります。例えば、2019年3月期において公表された59件の会計不正のうち45件(76.3%)は「粉飾決算」となっています。