日産自動車<7201>の大ピンチだ。東京地検特捜部が、有価証券報告書にカルロス・ゴーン前会長の報酬を約50億円少なく記載したとして、2018年12月10日に同氏とグレゴリー・ケリー前代表取締役を金融商品取引法(金商法)違反の疑いで起訴する見通しとなった。

ゴーン氏の「個人犯罪」としての立件は消滅

有価証券報告書の虚偽記載容疑での起訴となると、法人としての日産も責任を問われるのは必至。ゴーン、ケリー両氏と共に、同社も起訴されるのは避けられない。これは3社連合内の「ポスト・ゴーン」での主導権争いで、日産が大きく後退することを意味する。

そもそも日産の「筋書き」では金商法違反は事件の「糸口」にすぎず、「落しどころ」は業務上横領罪や背任罪というゴーン前会長の「個人犯罪」だった。これは記者会見での西川広人社長の発言および逮捕後の日産からの「会社契約不動産の私的利用」や「社費による家族旅行」「親族が経営する会社への発注」といった情報リークからも明らかだ。

勾留期間が長期化していることからみて特捜部も業務上横領罪や背任罪での立件を目指していたようだが、金商法違反による起訴にとどまったことでゴーン前会長の「個人犯罪」としての立件は断念したことになる。今後は日産の「企業犯罪」として、法廷でゴーン前会長ら経営陣の責任を追及する展開になった。

そうなると西川社長はじめ日本人経営陣の責任も免れない。これまでは「ゴーン前会長の逮捕」をたてに、仏ルノーに3社連合の主導権を譲渡するよう求めてきた日産にとっては西川社長ら日本人役員の刑事立件は痛烈な痛手になる。

法人としての日産起訴で西川社長の責任も追及されることに(同社ホームページより)