日産自動車<7201>の株価がカルロス・ゴーン前会長の勾留理由開示の出廷を受けて下落した。2019年1月に894円(前日終値は893円)で始まった日産株は9時50分頃に898円まで上げたが、ゴーン氏の出廷が速報で伝えられた10時20分には888円に。わずか30分で10円も下落した。その後は買い戻しもあり、前日終値前後で推移しているが、同日高値には達していない(同日終値は895円)。

ゴーン出廷で投資家心理も「日産売り」に(Photo By Dick Thomas Johnson)

「ゴーンの影」におびえる株式投資家

これは何を意味するのか。ゴーン前会長は法廷で意見陳述をするのと同時に、これを受けて弁護士が外国人特派員向けの会見を開く。ゴーン前会長側は「容疑はいわれのないものだ」と勾留の不当性を主張しており、「外圧に弱い」とされる日本政府からの働きかけや裁判所の「忖度」から保釈が早まる、少なくとも同11日移行の勾留延長は難しいとの見方が広まっている。

株式投資家も、こうした状況を織り込んでいるのは間違いなく、ゴーン前会長の保釈が早まれば日産にとってマイナスに働くとみているわけだ。もはや会長職を解任され、一取締役にすぎないゴーン前会長の日産での影響力は大きくない。

ただ、日産がゴーン前会長の逮捕を受けて早期解決を目指していた、仏ルノーとの経営の主導権争いは膠着したままだ。ルノーでは最高経営責任者(CEO)のままのゴーン前会長が保釈され、経営に事実上復帰することで、よりルノー寄りの判断が下る可能性が高い。もちろん、これはルノーや同社の大株主であるフランス政府にとっては歓迎すべき判断であり、ゴーン前会長の判断を支持するのは間違いない。

フランス政府の「自国優先主義」と歩調を合わせるルノーの経営支配が続けば、日産の成長にはマイナスに働く。日産はゴーン前会長の逮捕勾留で得たおよそ50日間の「アドバンテージ」期間でルノーとの交渉をまとめきれなかった。これが投資家から見放された理由だろう。いずれ保釈が決定すれば、さらなる株価の下落もありそうだ。

文:M&A Online編集部