2016年全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査

公開日付:2017.03.15

 2016年(1-12月)に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は、 57社(58件)で、2008年以降で最多を記録した。これまで最多だった前年の52社(53件)を5社(9.6%)上回った。
 調査を開始した2008年の25社(25件)に比べ、2016年は2.2倍増と急増しているが、なかでも東証一部上場の大企業の増加ぶりが目立つ。急増の背景には、コンプライアンスの欠如、知識の不足、従業員への過度なノルマ追求、そして監査体制の強化などがある。 また、厳格な運用が求められる企業会計についていけず、処理の誤謬が生じたケースも散見された。過度なノルマや業績至上主義、適正会計に対するコンプライアンス意識の欠如など、健全な会計意識の定着遅れが温床となり、不適切会計は高止まりしている。

※本調査は、自社開示、金融庁、東京証券取引所などの公表資料を基に、上場企業、有価証券報告書提出企業を対象に「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た企業、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計した。
※同一企業で調査期間内に2回以上内容を異にした開示の場合、社数は1社、件数は2件としてカウントした。2016年は東芝テック(株)の1社、2件があった。
※業種分類は、証券コード協議会の業種分類に基づく。上場の市場は、東証1部、同2部、マザーズ、JASDAQ、名古屋1部、同2部、セントレックス、アンビシャス、福岡、Qボードを対象にした。

開示企業数 2016年は過去最多の57社

 2016年の不適切会計の開示企業は57社(58件)で、前年の52社(53件)を社数で5社(9.6%)、件数で5件(9.4%)上回った。社数は2013年から4年連続で増加をたどり、社数・件数とも調査を開始した2008年以降の最多記録を更新した。
 2015年5月に東芝の不適切会計が発覚し、開示資料の信頼性確保や企業のガバナンス強化の取り組みを求める声が高まった。金融庁と東京証券取引所は上場企業が守るべき行動規範の策定を進め、2015年6月に「コーポレートガバナンス・コード」を公表し、関係各所の体制強化を求めている。
 一方、企業側は株主が求める業績、利益の拡大を追求し、目標達成に向けて設定したノルマの進捗管理を厳しく行っている。現実味を欠いた目標設定や進捗管理が独り歩きした結果、コンプライアンス違反に繋がるケースも目立つ。
 また、時価会計や連結会計などに厳格な会計手続きの知識が求められ、現場で処理についていけず会計処理手続きの認識の誤りも生じている。企業の人手不足が広がるなかで現場の負担は高まり、不適切会計を増加させる側面になっている可能性も危惧される。

不適切会計開示企業推移

内容別 「誤り」が最多の25件

 内容別では、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が25件(構成比43.1%)で最多だった。次いで、「売上の過大計上」や「費用の繰り延べ」など、営業ノルマ達成を推測させる「粉飾」が24件(構成比41.4%)だった。
 「粉飾」では、子会社・関係会社間での売上の過大計上や売上原価の先送りなど、業績目標を達成するために意図的に操作されたケースもある。また、子会社・関係会社の役員や従業員による「会社資金の私的流用」、「架空出張費による着服」など、個人の不祥事もあり、子会社・関連会社への厳格な監査を求めた結果も表れている。

不適切会計開示企業 内容別