2018年11月19日にカルロス・ゴーン日産自動車<7201>前会長が、東京地検特捜部に金融商品取引法(金商法)違反容疑で逮捕されて1週間。ようやくゴーン前会長や同時に逮捕されたグレッグ・ケリー前代表取締役の供述内容が伝えられるようになってきた。

日産側からは金商法違反に加えて会社経費の不正流用などのリーク情報が盛んに報道されているが、2人とも容疑を全面否認しており日産・地検側とゴーン前会長側の「全面対決」の様相を呈している。

ゴーン前会長は法廷闘争に持ち込まれても「徹底抗戦」の構え(Photo by Kentaro Ohno)

ゴーン前会長は重罪に処されるのか?

報道ではゴーン前会長の「極悪非道」ぶりが強調されている。が、本当にゴーン前会長は起訴され、重罪に処されるのか?そして日産や仏ルノーの経営から完全に「身を引く」ことになるのだろうか?

先ずはゴーン前会長側の言い分を聞いてみよう。ケリー前代表取締役は「ゴーン前会長の退任後に報酬を支払う予定だったが、退任後の報酬が確定していないため有価証券報告書に記載する必要はなかった」と主張している。

この「報酬」とは、ストック・アプリケーション・ライト(SAR)と呼ばれる株価連動型インセンティブ受領権を指す。SARとは権利を付与した時点での株価と権利行使時の株価の差額を現金または株式で支給する仕組み。

SARはストックオプションと同じく、報酬を与えられた役員や社員が権利行使(現金または株式を入手)した時点で所得となる。ケリー前代表取締役が主張するように、行使日の株価で報酬が決まるため、ゴーン前会長が権利を行使していないとすれば報酬金額は確定していない。

さらには一部で報じられている脱税や所得隠しにも該当しない。そもそもゴーン前会長は「権利を保有している」状態であって、実際に現金や株式を受け取っているわけではないからだ。受け取っていない以上、脱税や所得隠しは起こりえない。

では、この権利を行使せず「退任後の報酬が確定していないため有価証券報告書(有報)に記載する必要はなかった」というケリー前代表取締役の主張は通るのか?