神戸製鋼所のデータ改ざん 出荷先は500社に
次々とデータ改ざんの発覚で揺れる神戸製鋼所(KOBELCO)の川崎博也代表取締役会長兼社長が都内で会見した。データ改ざんの製品の出荷先数が約500社に上ることも明らかにした。
公開日付:2017.10.24
完成車の不正検査が発覚した日産自動車(株)(TSR企業コード:350103569、横浜市、東証1部、以下日産)。9月18日に国土交通省から指摘を受けた後も無資格の従業員が検査に関わっていた。10月19日、国内6工場の出荷停止を発表したが、コンプライアンス意識の希薄さは否定できない。すでに20日までに国内向け出荷を停止している。停止期間は2週間の見通しだが、不祥事の影響は日産にとどまらず日産の取引先、下請企業にも波及している。
日産本社のある神奈川県内で、不正検査問題の影響を東京商工リサーチ(TSR)横浜支店情報部が取材した。
日産は10月6日、116万台のリコールを国交省に届け出たが、販売店(ディーラー)の対応は鈍く、ユーザーには不満も出ている。神奈川県内に住む日産車ユーザーは「報道で不正検査問題は知っているが販売店からアナウンスがなく、自分からディーラーに問い合わせた」という。販売店の担当者は「対応について上から明確な指示がない」と話す。
販売店も想定外の不祥事に混乱しており、ユーザーの不満、不安の解消には時間がかかりそうだ。
神奈川県内に本社を置く部品メーカーは、「出荷停止に伴う一時的な対応には耐えられるが、今後、販売台数に影響が出て生産計画などの見直しに繋がることが一番怖い」と不安を漏らす。
現在、受注に影響は出ていないが、日頃から下請に品質面などで厳しい日産担当者が本件をまったく口にしないという。日産の「他人に厳しく、自分に甘い体質」とも受け取れる反応は理解しにくいようだ。
資材販売業者は、TSRの取材に対し「無資格の従業員が検査に関わっていたことは問題だが、品質自体に問題はない。この点が周知されると新車販売への影響も最小限に留まるだろう」と楽観的な見方を示す。
その上で、「これから迎える年末や年度末の時期に新車販売よりもリコール対応などに人員、時間を割けば、販売が計画を下回り生産調整などが起こることはやむを得ない」と話す。日産と取引する企業は、今後の受注減をある程度覚悟しているようだ。
日産は今回の不祥事で各工場への指示系統を改め、ものづくりの責任者であるチーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)による直接の管理体制を採るという。
TSRの調査では、日産(グループ含む)と直接取引のある企業は神奈川県内に延べ898社ある。取引先への影響を最小限にとどめるには、早急な再発防止への取り組みが必要だ。
今回の不祥事で、日産は自社製品への過信と甘えを露呈した。世界をリードする自動車メーカーとして、真摯な対応が問われている。
(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2017年10月25日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)
次々とデータ改ざんの発覚で揺れる神戸製鋼所(KOBELCO)の川崎博也代表取締役会長兼社長が都内で会見した。データ改ざんの製品の出荷先数が約500社に上ることも明らかにした。