社長逮捕で証明された「低コスト」

 スーパーコンピューター(スパコン)開発を手がけるPEZY Computingの齊藤元章社長ら2人が、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成金約4億3000万円をだまし取った疑いで、東京地検特捜部に逮捕された。

 PEZY Computingは2017年11月に発表されたスパコン性能ランキングの「TOP500」で世界4位、電力効率の良い高性能計算を評価する「Green500」で同5位にランクインした液浸型スパコン「暁光」の開発で一躍有名になったベンチャー。「暁光」では自社開発したメニーコアプロセッサ「PEZY-SC2」を採用し、計算速度は事業仕分けの対象となった富士通<6702>のスパコン「京」の約1.8倍という「国内最速のスパコン」だ。

 今回の逮捕は事業費用を水増し請求し、不当に高額な補助金をだまし取ろうとした容疑。ところが、この「容疑」が思わぬ波紋を呼んでいる。NEDOの助成額は事業費用の3分の2が対象で、PEZY Computingへの助成額は約4億9900万円だった。逆算すれば、同社が申請した事業費用は7億4850万円になる。これが詐欺だったとすれば、実際の事業費用はこの金額を大幅に下回っていたはずだ。

 もちろん今回の事業費用だけでスパコンを丸ごと開発できるわけではないが、一世代前とはいえ2012年9月に稼働した「京」の総開発費が1,120億円だったことを考えれば破格の低コストであることは間違いない。一部にはPEZY Computingのスパコンは開発費が安すぎるとして、「仕事を取りたいがゆえの大幅ダンピングではないか」との疑念もあったが、皮肉にも今回の逮捕劇でダンピングでないことが証明された格好だ。