積極的にM&Aを展開してグループ内の会社が増えていった場合、企業文化や管理レベルが異なる会社をどのように取りまとめていくのかという課題が生じます。グループ本部の目が届かないところにある子会社で会計不正が行われていたというケースも枚挙にいとまがありません。今回はグループ会社で起こり得る会計不正の例を紹介したいと思います。

そもそも不正とは

会計不正の例を紹介する前に、不正の概念について確認しておきましょう。日本公認会計士協会が公表する監査基準委員会報告書240「財務諸表監査における不正」では、不正の定義を「不当又は違法な利益を得るために他者を欺く行為を伴う、経営者、取締役等、監査役等、従業員又は第三者による意図的な行為」としています。単なる誤謬とは異なり、他者を欺く目的で行われるため隠蔽工作がなされていることも多く、より厄介な問題をはらんでいます。

米国の公認不正検査士協会が隔年で公表している「職業上の不正と濫用に関する国民への報告書」には「不正の体系図」が示されており、不正を「汚職」「資産の不正流用」「財務諸表不正」の3つに分類しています。

このうち、「汚職」というのは利益相反取引や贈収賄などを指します。また、「資産の不正流用」は現金、預金、在庫といった資産を横領する行為などを意味します。そして最後の「財務諸表不正」は「粉飾決算」と言い換えることができます。いわば「会計不正のための会計不正」と呼べるものです。

(出典:一般社団法人日本不正検査士協会「職業上の不正と濫用に関する国民への報告書 (日本語訳)」2016年版)