中国企業による日本企業の買収事例1:ハイアール

今回は中国企業のM&A戦略について、特に日本企業と関連する部分にスポットを当て紹介したいと思う。第1回は、ハイアール・グループ(Haier)による三洋電機の子会社の買収を紹介する。

本件は複数の法人を含んでいるものの、実質的には当時パナソニックの傘下にあった三洋電機の家庭用冷蔵庫事業と家庭用・業務用洗濯機事業、及び東南アジア4ヶ国における白物家電販売事業をハイアールへ譲渡したものである。

このハイアールによる三洋電機の白物家電事業の買収であるが、2002年から日本で始まった三洋電機とハイアールの合弁事業、その後の三洋電機の経営悪化及びパナソニックによる完全子会社化、その後に続く形で買収が行われていることが分かる。そのような流れの中で、買収後に続く、ハイアールにおける旧三洋電機の事業の再編・統合までを一連の流れとして捉えると分かりやすいのではないだろうか。

ハイアールによる旧三洋電機の事業の再編・統合

山東省青島で生まれたハイアール、売上高は3兆超

ハイアールは1984年、中国の山東省青島で創業された家電メーカーである。初期のハイアールは、西ドイツの会社と技術提携し、冷蔵庫でその業績を伸ばした。現在は、冷蔵庫からエアコン、洗濯機等の白物家電、パソコン等を生産・販売している。世界100ヶ国以上で事業を展開しており、上海市場と香港市場に上場している。2016年の全世界での売上高は、約3兆3200億円である。

統合の経緯

日本においては、2002年に三洋電機と合弁で「三洋ハイアール株式会社」を設立し、ハイアールブランドの冷蔵庫、洗濯機、エアコンの輸入販売を開始した。その後、2007年に「三洋ハイアール株式会社」は解散し、日本におけるハイアールブランドと製品の企画開発、マーケティング、販売・アフターサービスは「ハイアールジャパンセールス株式会社」に一本化されることになる。同年、三洋電機が冷蔵庫の製造をハイアールに委託する目的で「ハイアール三洋エレクトリック株式会社」が設立された。

2009年、パナソニック株式会社は三洋電機を完全子会社した。パナソニックが三洋電機の買収を決めた時点で、パナソニックと事業が重複し恒常的な赤字だった冷蔵庫と洗濯機事業の売却は、半ば既定路線だったと言われている。そして2011年、約100億円で三洋電機の白物家電事業を行う子会社9社のハイアールによる買収が発表された。

ハイアールHP ドラム式洗濯機より

2012年、家庭用冷蔵庫を設計・開発している「ハイアール三洋エレクトリック株式会社」が事業譲渡株式取得により、「ハイアールアジアインターナショナル株式会社」として発足し、家庭用・業務用洗濯機を製造・販売している「三洋アクア株式会社」が事業譲渡株式取得により、洗濯機、冷蔵庫の新ブランド「アクア(AQUA)」の国内販売を行う「ハイアールアクアセールス株式会社」として発足した。

その後、ハイアールは、三洋電機のドラム式全自動洗濯機のブランド名に由来する「アクア(AQUA)」ブランドで事業を展開することになる。