【クスリのアオキHD】食品スーパーの買収が止まらず、「フード&ドラッグ」の深化へ

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埼玉県内の店舗

生鮮強化へ福島県、茨城県でも

クスリのアオキは翌2021年、地場食品スーパーのサン・フラワー・マリヤマ(石川県輪島市)、一二三屋(福島県いわき市)の子会社化、スーパーマルモ(茨城県土浦市)からの事業取得を立て続けに決めた。いずれも生鮮食品の販売には長けている。なかでも茨城県ではクスリのアオキの店舗は50店舗を数える。

生鮮食品は鮮度保持と廃棄ロスの管理が最大のポイント。従来は外部業者にテナントとして出店してもらうコンセッショナリー方式で生鮮を取り扱ってきた。

これに対し、食品スーパーを傘下に収めることは生鮮部門を自社で運営する体制への転換を意味する。ドラッグストアのヘルス&ビューティーや日用品と食品スーパーならではの生鮮の品ぞろえを組み合わせ、顧客利便の高い店舗づくりにつなげる作戦だ。

主力地盤の北陸3県以外で店舗数の多いのは新潟県(70店舗)、群馬県(78店舗)、岐阜県(66店舗)、愛知県(40店舗)、埼玉県(38店舗)など。今後、これらのエリアでも地場スーパーの買収を視野を入れることになりそうだ。

売上高5000億円を目指す中計始動

クスリのアオキは2022年5月期までに3000億円としていた売上高目標を2年前倒しで達成した。これを受け、昨年7月に発表した新中期経営計画(5カ年)では2026年5月期に売上高5000億円を掲げた。2021年5月期の6割超にあたる。また5年間で500店舗を新規出店し、総店舗数は1200を超える見込みだ。

◎クスリのアオキHD:業績の推移(業績項目の単位:億円、店舗数の22年5月期は1月25日時点)

19/5期 20/5期 21/5期 22/5期(予想)
売上高 2508 3001 3058 3380
営業利益 141 163 166 163
最終利益 106 124 120 114
店舗数 541 630 728 795

同業への新たなM&A戦略も?

ドラッグストア業界をめぐっては厳しい出店競争、価格競争にとどまらず、コンビニでの医薬品販売など異業種からの参入も加わる。

業界再編の動きも後を絶たない。トップを争うウエルシアホールディングスとツルハホールディングスは各地の有力ドラッグストアのグループ化を競っている。マツモトキヨシホールディングスとココカラファインは2021年10月に経営統合を実現し、首位の座を虎視眈々と狙う。

目下、クスリのアオキはドラッグストア業界で8位。一つ上の7位で、神奈川県を地盤とするクリエイトSDホールディングスとは売上高で300億円強の開きがある。

売上高5000億円の目標達成に向け、見どころの一つは戦線拡大の行方。現在、店舗網は23都府県に広がるが、西日本に目を向けると、手薄な関西の拡充、まったく手つかずの中国・四国、九州に進出はあり得るのかが注目される。最大市場の関東ではさらに攻勢を強めるとみられる。

食品スーパーの取り込みによる「フード&ドラッグ」路線を深掘りする一方、規模拡大を追求するうえではこれまでの自力出店に加えて、各地に根を張る同業者に照準を合わせた新たなM&A戦略が動き出す可能性もありそうだ。

主な沿革
1869 石川県で薬種商を創業
1930 合資会社「青木二階堂」を設立し、薬局を開業
1976 有限会社「青木二階堂薬局」を設立
1985 株式会社「クスリのアオキ」を金沢市内に設立、ドラッグストアに進出
1986 石川県1号店を金沢市に出店
1996 クスリのアオキが青木二階堂薬局などを合併
2001 イオンウエルシア(現イオン商品調達)と商品の共同仕入れなどで業務提携
2006 東証2部上場
2007 100店舗を達成
2011 東証1部上場
2013 200店舗を達成
2016 300店舗を達成
  〃 持ち株会社「クスリのアオキホールディングス」を設立
2018 500店舗を達成
2020 600店舗を達成
   〃 食品スーパーのナルックス(金沢市)を子会社化
  〃 食品スーパーのフクヤ(京都府宮津市)を子会社化
2021 食品スーパーのサン・フラワー・マリヤマ(石川県輪島市)を子会社化
  〃 食品スーパーのスーパーマルモ(茨城県土浦市)から事業取得
  〃 700店舗を達成
  〃 食品スーパーの一二三屋(福島県いわき市)を子会社化
2022 1月、食品スーパーのホーマス・キリンヤ(岩手県一関市)を吸収合併すると発表

文:M&A Online編集部

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