新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、上場企業による3月期決算発表の日程延期が広がっている。3月期決算企業はおよそ2340社あり、その1割以上の270社強(24日時点)が延期を決めた。こうした中、次の焦点となるのは株主総会を予定通り6月中に開催できるかどうかだ。

東芝、7月以降に総会を延期

早々に株主総会の延期を決めたのは東芝だ。4月18日、例年6月下旬に開いている株主総会を7月以降に延期すると発表した。

新型コロナの影響で決算数値の確定や監査手続きに遅れが生じているためで、5月14日に予定していた3月期決算の発表も同月下旬以降に変更した。同社の場合、4月20日から5月6日までグループ企業を含めて国内全拠点で臨時休業に踏み切ったことも背景にある。

東芝は株主総会の延期に伴い、通常3月末としている議決権の基準日を5月15日に変更。一方、配当の基準日は従来通り3月末のままとした。5月15日までに株式を売却し、“元株主”になった場合、議決権は行使できないが、配当は受け取ることができる。

延期のほか、2段階開催も選択肢に

金融庁は新型コロナの感染拡大を踏まえ、通常6月末に集中する3月期決算企業の株主総会について、延期のほかに、決算承認を後日行う2段階方式での開催を認めることとしている。

2段階方式というのは当初予定した時期に株主総会を開き、取締役選任などと合わせて総会の続行を決議し、後日に決算承認を行うための継続会を行うものだ。有価証券報告書の提出期限は9月末まで3カ月延長が認められており、継続会も9月までに開くことになる。

全上場企業約3700社のうち、6割以上にあたる2340社が3月期決算。現在までに総会延期を表明したのは東芝が唯一で、各社とも今のところ、6月に総会開催のスタンスを維持している。しかし、新型コロナの感染拡大に終息が見通せない状況下、22日にスカパーJSATホールディングス、24日にはサンデンホールディングスが株主総会の延期を発表するなど、東芝に追随する動きが広がっている。

実際、前段ともいえる決算発表の延期は今週(20~24日)だけで140社余り数え、合計で270社を超える。1週間から2週間程度の延期が大半で、4月下旬に予定していた企業は大型連休明けに、大型連休明けに予定していた企業は5月下旬に日程を変更している。なかには延期したものの、新たな発表日が決まらない企業もある。

東京証券取引所は上場企業に期末後45日以内発表を求めている。3月期決算の場合、決算発表は通常5月15日までだが、今回は新型コロナの影響が考慮される。

作業が遅れたとしても、決算発表という点では東証適時開示情報(TDnet)や企業のHPなどで確認できることから、インターネット上で用が足りる。これに対し、株主総会は事情が大きく異なる。

東証は決算発表の「45日」ルールを柔軟に運用

「バーチャル株主総会」は今後の課題

多くの株主や関係者が会場に参集する株主総会は感染リスクが避けられない。とはいえ、インターネット上だけで行う「バーチャル株主総会」は現行の会社法では認められていないのだ。

現状でもネットを通じて議決権を行使することはできるが、この場合も、実際に取締役や株主が参加するリアルの株主総会を開くことがあくまで前提となる。

足元の4月は1月期決算企業の株主総会が予定通り開かれている。5月は2月期決算企業の番だが、求人情報会社のディップが下旬に予定していた株主総会を7月29日にほぼ2カ月延期した。新型コロナの感染予防と拡大防止のため、株主の安全を第一に考えたという。

2300社超の大集団である3月期決算企業。コロナ禍の不安が続く中、「株主総会」対応への決断も早晩迫られることになりそうだ。

文:M&A Online編集部