2020年3月6日から保険の適用が始まった新型コロナウイルス感染の陰性、陽性を判定するPCRによる検査数がなかなか増えない。

政府は「検査を抑制しているわけではない」としているものの、1日最大6000件とされる検査能力に対して実際に行われる検査は数分の1にとどまっている。

厚生労働省は「医師の判断で、新型コロナウイルス感染症の患者であることが疑われる者に対し、PCR検査を行うことができる」としており、感染の広がりとともに今後PCR検査も増えてくるものと思われる。

では、そのPCR検査とは一体どのようなものなのか。仕組みをみてみると。

DNAを増やし、目で確認

PCRはポリメラーゼ連鎖反応と言い、DNA(デオキシリボ核酸=遺伝子)ポリメラーゼと呼ばれる酵素の働きと温度調整を利用してDNAを増殖させる技術。Polymerase Chain Reactionの頭文字をとってPCRと表記される。

ちなみにアデニン、グアニン、シトシン、チミンという4つの塩基から成るのがDNAで、チミンがウラシルに代わったのがRNA。DNAからRNAが作られ、RNAからたんぱく質が作られる。DNAが持つ4つの塩基の配列が変わることで作られるたんぱく質が変わり、さまざまな遺伝情報が発現することになる。

今回の新型コロナウイルスはRNA(リボ核酸=DNAを鋳型として合成される)ウイルスのため、RNAをDNAに変換したうえでPCRでDNAを増やし、陰性、陽性の判定を行う。

DNAは2本鎖のらせん構造(二重らせん構造)を持っており、水溶液中で高温にすると2本鎖が離れ1本鎖のDNAになる。1本鎖DNAは温度を下げると、再び結合し2本鎖となる。この時、温度を急に下げると長い1本鎖DNAは2本鎖に戻りにくいが、短いDNAは急に温度を下げても結合しやすいという現象が起こる。

PCRはこの現象を利用したもので、増幅したいDNAとともに短いDNAを大量に混ぜ合わせたうえで、温度の上げ下げを繰り返すことで目的のDNAを増やす。さらに増えたDNAを染めれば、目で確認する事ができるようになり、目で確認できれば陽性、目で確認できなければ陰性と判定される。