2019年の住宅・不動産業界でのM&Aは件数で前年(22社)の約1.4倍の31社、取引総額でも前年(1026億9620万円)の約2.1倍の2221億5800万円に拡大した。全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移動を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。

2019年住宅・不動産業界M&A取引総額ランキング

順位開示日スキーム取引総額 内  容
1 8月16日 株式譲渡 1,360 米フォートレス、エイチ・アイ・エスに対抗してTOB。1368億円でユニゾHDを完全子会社化へ
2 4月15日 株式譲渡 429 ティーケーピー、レンタルオフィス大手の日本リージャスHDを子会社化
3 4月25日 株式譲渡 230 リログループ、カナダのリロケーション大手Brookfieldを230億円で子会社化
4 9月27日 株式譲渡 70 イオンモール、大型ショッピングセンター「横浜ワールドポーターズ」運営の横浜インポートマートを子会社化
5 8月9日 株式譲渡 29.2 ティーケーピー、レンタルオフィスの台湾リージャス社を買収
6 7月22日 株式譲渡 27.5 ハウスドゥ、不動産売買・賃貸仲介の小山建設を子会社化
7 3月28日 株式譲渡 26.5 ファーストブラザーズ、青森が地盤の東日本不動産を子会社化
8 2月25日 株式譲渡 17.3 FRACTALE、不動産子会社の池田不動産を大阪木材相互市場に譲渡
9 3月29日 株式譲渡 15.7 高松コンストラクショングループ、RIZAP傘下タツミプランニングの戸建住宅・リフォーム事業を取得
10 5月21日 第三者割当増資 7.15 RISE、FREアセットマネジメントを子会社化
11 10月31日 株式譲渡 6 アエリア、不動産投資コンサルティングを手がけるインベストオンラインを子会社化
12 1月15日 株式譲渡 3.13 香陵住販、不動産売買仲介のKASUMICを子会社化
13 4月1日 第三者割当増資 0.1 日神不動産、戸建住宅開発・販売とリノベーションのリコルドを子会社化

(単位:億円)

取引総額が公開されたのは13件で、最高額は未確定ながら8月にエイチ・アイ・エス<9603>による敵対的株式公開買い付け(TOB)に対抗して、ソフトバンクグループ<9984>系の米フォートレスがユニゾホールディングス<3258>に実施したTOBの1368億円。TOB価格は1株当たり4000円(後に4100円に引き上げ)。

米ファンドのブラックストーンも同5000円、総額16億ドル(約1750億円)のTOBを検討しているが、ユニゾからの同意を得られていない。一方、フォートレスは12月18日に同27日までとしていたTOB期限を2020年1月8日まで延長すると発表した。TOB価格は据え置く。ユニゾTOBの決着は年を越すことになった。

2位は4月に貸会議室大手のティーケーピー<3479>が、レンタルオフィス世界大手のスイスIWGの傘下で日本国内の約30都市130拠点以上に「Regus」「Open Office」「SPACES」などのブランドで事業展開する日本リージャスを子会社化した429億円。ティーケーピーはIWGの日本における独占的パートナーとしてIWG各ブランドを活用しながら、サービス拠点を拡大する。

同社は8月にもIWG傘下で3都市14拠点を展開する台湾最大手レンタルオフィス会社の台湾リージャス社を完全子会社化し、台湾へ進出。IWGとの関係を強化している。ティーケーピーは業務提携先で経営危機に陥っている大塚家具<8186>の買収するのではないかと注目されたが、手堅く同業者を買収した。大塚家具は12月にヤマダ電機<9831>の子会社となっている。

3位は海外赴任に伴う移転・引っ越しや留守宅管理などリロケーション事業を手がけるリログループ<8876>が、カナダの同業大手Brookfieldを完全子会社化した230億円。Brookfieldは世界8カ国14カ所に拠点を持ち、リロケーション事業をグローバル展開している。リログループ同社買収により、北米、欧州、アジアでのサービス体制を確立し、海外へ進出している日本企業のニーズに応える。

2020年は東京五輪後の不動産市場の軟化により、好調な首都圏でも住宅・不動産需要は縮小するとみられている。経営環境の悪化に伴い、M&Aがさらに活発化する可能性もありそうだ。