2020年春に始まる第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスを前に、携帯電話各社の動きが慌ただしくなってきた。

高速・大容量、低遅延の5G

NTTドコモ<9437>は9月20日から商用サービスと同じ環境で、5Gプレサービスを始めたほか、ラクビーワールドカップ2019日本大会の8会場で、同社が用意した5G端末で試合を多視点でリアルタイムに視聴できるようにする。 

KDDI<9433>は9月15日に開催されたスポーツイベントで、競技の高精細な映像を会場内の大型モニターに5Gを用いてリアルタイム中継したほか、ビルの壁面にスマートフォンをかざすなどすれば、レストランやショップの情報などが取り出せるようになる3D(3次元)マップを5Gのサービス開始に向けて整備中だ。 

ソフトバンク<9434>は5G時代の新たなゲーム体験の実現に向けて、グラフィックス処理や演算処理を高速化できるGPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)の開発を手がけている米国の半導体メーカー・NVIDIAと協業し、ゲームがいつでもどこでも楽しめるクラウドゲーミングサービスのベータ版サービスを2019年冬から提供する。 

いずれも高速・大容量、低遅延といった5Gの特徴を生かした取り組みで、5Gユーザー争奪戦秋の陣の火ぶたが切られたといえそうだ。 

駅や空港で5Gプレサービスを開始

NTTドコモは札幌ドームや東京スタジアム、阪神甲子園球場、福岡ヤフオク!ドームなどのスタジアムや野球場、札幌駅、仙台駅、金沢駅、大阪駅、京都駅、髙松駅、東京国際空港、成田国際空港、関西国際空港の駅や空港で、5Gプレサービスを実施する。 

NTTドコモが用意したソニーモバイルコミュニケーションズ、サムスン電子、LGエレクトロニクスの3社のスマートフォンを貸し出し、実際のスタジアムや駅、空港などで使用してもらう。     

またラクビーワールドカップ2019日本大会では、8会場で試合を観戦しながら多視点での視聴ができるほか、ベルサール汐留(東京都中央区)でも高精細映像や音声などを5Gで送信し、迫力のある試合を観戦できるようにする。NTTドコモでは2020年6月末までに全国47都道府県に5G基地局を設置するという。

 KDDIは9月15日に長野県小布施町で開催された2019スラックラインワールドカップジャパン・フルコンボで、競技エリアを5G化し、高精細画像を実現できる4Kで撮影した競技中の選手の様子を5Gで送信し、会場内の大型モニターでリアルタイム中継した。 

さらにKDDIはVPS(ビジュアルポジショニングサービス)という技術を持った米国企業に出資し、VPSによる日本の3Dマップを作成中で、これが完成すればビル壁面での広告表示や、壁面のディスプレー化などが可能になるほか、地下街でのナビゲーションやショッピングセンター内の店舗の情報なども簡単に取り出せるようになる。

NVIDIAのサービスを無料提供

ソフトバンクは9月19日からNVIDIAのクラウドゲーミングサービス「GeForce NOW(ジーフォースナウ)」のベータ版サービスの申込受付を始めた。抽選で同サービスを無料提供する。 

同サービスはゲームで遊ぶ際に負荷がかかるデータ処理をGeForce NOW側のサーバー側で行ったうえで配信するため、高負荷な処理ができないパソコンやタブレット、スマートフォンでもゲームを快適に楽しむことができる。すでに北米と欧州でサービスが提供されており、約500タイトルのゲームがあるという。 

5Gのサービスは韓国や米国で始まっており、日本をはじめ多くの国で利用が進む見込み。5Gは高速で大容量データの送受信が可能なため、多視点視聴や臨場感のある立体映像などを楽しむことができるほか、遅延時間が短くなるため、格闘ゲームやシューティングゲームなどを快適に楽しめる。さらに、家庭にある数多くの家電やセンサーなどがネットワークでつながるため、便利で快適なスマートホームなどが実現できる。

文:M&A Online編集部