日本政府が7月に韓国向けの輸出手続きを厳格化した半導体洗浄用のフッ化水素の国産化に韓国が成功したことが伝えられた。

製造工程の一部での使用とされており、日本製品が完全に不要になったわけではなさそうだが、少なからず日本企業に影響がでる恐れがある。

韓国にシリコンウエハーのウェットエッチングやウェット洗浄用薬液として、フッ化水素酸を輸出してきたステラケミファ(大阪市)は、7月1日にホームページに掲載したニュースリリースで、輸出手続きの厳格化について「業績の影響は未定」としていた。

今回の韓国の国産化についてのニュースリリースは掲載しておらず、状況を見守っているよう。韓国の半導体産業に大きな影響を与えているステラケミファとはどのような企業なのか。

フッ素化合物分野で世界トップレベルのシェア

ステラケミファは1916年に大阪府堺市で、橋本升高堂製薬所として創業、硫酸塩の製造を始めた。フッ素化合物については創業から15年後の1930年に製造を開始、これまでに何度も増強を繰り返してきた。

現在は自動車、携帯電話、テレビなどの電子機器の製造を支える、フッ素化合物を中心とした高純度薬品事業を主力事業としている。

また近年は国内で初めて確立した中性子の吸収能力が高い濃縮ホウ素(ボロン10)の量産技術を活用して、ホウ素中性子捕捉療法と呼ばれる先端的ながん治療技術の開発に取り組んでいるほか、オーラルケア分野にも参入、メディカル事業の拡充に取り組んでいる。

さらに、社会貢献活動の一環として保育園「Kids Planet」を設立。社会で活躍する保護者を応援するのが狙いで、育児の不安や葛藤が、安心や幸せへと変化することを目指しているという。

2009年には蓄光ガラスビーズの製造や販売を手がけていたアライズ・コーポレート(東京都新宿区)の全株式を取得し子会社化した。

アライズ・コーポレートの高輝度蓄光材の生産、営業体制とステラケミファの事業基盤を融合して、国内外の環境関連市場に積極的に製品を供給し、高輝度蓄光材の普及に取り組むのが狙いだ。

韓国には1994年に合弁会社 FECT CO., LTD.を設立し、韓国の半導体メーカーなどとの取引を拡大してきた。

ステラケミファはフッ素の可能性を追求し続けることで、フッ素化合物分野で世界トップレベルのシェアを持つ企業に成長した。

韓国の国産化がもたらす影響はゼロではないだろうが、フッ素研究で培った可能性を追求し続ける姿勢が続く限り、同社のリードが一気に詰められることはなさそうだ。

ステラケミファの沿革
1916 大阪府堺市で橋本升高堂製薬所として創業。硫酸塩の製造開始
1930 フッ素化合物の製造を開始
1944 大阪府堺市に橋本化成工業を設立
1956 フッ化水素酸製造設備を増設
1961 フッ化水素酸、フッ化アルミニウム、その他フッ化物製造設備を増設
1984 半導体用高純度フッ化水素酸クリーンプラント(PAS-Ⅰ)完成
1990 社名を橋本化成に変更
1990 半導体用超高純度フッ化水素酸クリーンプラント(PAS-Ⅱ)完成
1994 韓国に合弁会社 FECT CO., LTD.を設立
1997 社名をステラケミファに変更
1999 半導体用超高純度フッ化水素酸クリーンプラント(PAS-Ⅲ)完成
1999 大阪証券取引所市場第二部に上場
2000 東京証券取引所市場第一部および大阪証券取引所市場第一部に上場
2007 半導体用超高純度フッ化水素酸クリーンプラント(PAS-Ⅳ)完成
2009 アライズ・コーポレートを買収(100%子会社化)
2010 100%子会社コスメ ド ステラを設立、ステラファーマからコスメティック事業を譲受
2014 北九州工場(北九州市八幡西区)を設置
2015 中国に合弁会社衢州北斗星化学新材料有限公司を設立
2016 監査等委員会設置会社に移行
2018 本社を大阪市中央区伏見町に移転

文:M&A Online編集部