上場企業の間で大規模な人員削減などリストラの動きが広がっている

ファミリーマート、800人の希望退職者募集

11月に入り、三井E&Sホールディングスが子会社などの資産売却と1000人規模の削減・配置転換を柱とする経営再建策をまとめたほか、オンキヨーは米国企業へのホームAV(音響・映像)事業の売却中止を受けて国内拠点集約と約100人の希望退職者募集など合理化策を打ち出した。

日産自動車は12日、主力の北米市場での販売不振などから2020年3月期の通期業績見通しを大幅に下方修正した。同社は7月に、22年度末までに世界全体で生産能力の1割縮小と1万2500人規模の人員削減を盛り込んだ事業構造改革を発表した。しかし、その後も“ゴーン・ショック”による経営の混乱が響き、業績低下に歯止めがかかっておらず、さらに人員削減幅が広がる可能性もある。

14日にはファミリーマートが本部組織の構造改革の一環として、原則40歳以上の社員を対象に2020年2月までに全社員の約1割にあたる約800人の希望退職者を募集すると発表した。同社が希望退職者を募集するのは初めて。小売業を取り巻く厳しい経営環境を勝ち抜くため、先んじて組織のスリム化・業務効率化を進めるとしている。

セブン&アイは3000人、コンビニ1000店閉鎖・移転も

これに先立ち、セブン&アイ・ホールディングスは10月、2022年度末までにグループ従業員の約2割にあたる3000人を削減する方針を発表。同社として過去最大の人員削減で、傘下百貨店のそごう・西武の地方5店舗の閉鎖や売場縮小で1300人、総合スーパーのイトーヨーカ堂で約1700人(33店舗閉店)を計画。稼ぎの頭のコンビニ事業でも1000店舗の閉鎖と立地移転を盛り込んだ。

三井E&Sは2019年3月期に695億円の最終赤字となり、20年3月期はさらに880億円に最終赤字幅が拡大する見通し。インドネシアの火力発電所工事関連の巨額損失が経営の屋台骨を揺るがす事態となっている。同社は発電プラントなどを手がける子会社の三井E&Sプラントエンジニアリング(千葉市)や太陽光発電事業などの売却先をすでに決定。これに伴い、約700人を削減し、ほかに300人程度の配置転換を予定する。

11月11日に経営再建策を発表した三井E&Sホールディングスの本社(東京・築地)

オンキヨーは再建計画が“振り出し”に戻る

一方、オンキヨーは10月に米サウンド・ユナイテッドへのホームAV事業の売却を取りやめたことで、改めて抜本的な合理化に迫られた。もともと同事業の売却(約82億円)を再建計画の“切り札”と位置づけていたが、前提が崩れたのだ。約100人を募集する希望退職者は40歳以上60歳未満の正社員で拠点集約による転勤者が対象。募集期間は12月12日~同20日で、退職日は来年3月末。

今年に入って希望退職者募集を発表した上場企業はオンキヨー、ファミリーマートを含めてすでに24社を数え、昨年の倍に達する。サンデンホールディングスは10月末~11月上旬、国内グループ従業員を対象に200人程度の募集を実施した。

また、ジャパンディスプレイ(JDI)では今夏実施した希望退職者募集に予定(1200人)を上回る1266人が応募し、9月末に退職した。JDIは9月中間決算債務超過幅が6月末の772億円から1016億円に拡大し、経営不振が深刻化している。同社の支援先として名乗りを上げていた中国企業が離脱するなど、再建の枠組みが定まらない状態に追い込まれている。

同じく9月には、UACJが生産拠点の再編に伴い、2022年度末までにグループ従業員の約15%にあたる2000人規模の人員を削減すると発表した。主力のアルミ圧延事業で競争力強化が狙い。削減数には9月30日付で国内ファンドに売却した銅管事業の約700人を含む。

曙ブレーキ、削減規模の行方は?

また、経営再建中の曙ブレーキは、9月末に可決した事業再生ADR(裁判外の紛争解決)手続きに基づく再生計画で、国内外で最大6工場を閉鎖する方向。これに伴う人員削減は3000人規模といわれ、その動向が注目される。一部人員については希望退職者募集で対応することも予想される。

ルネサスエレクトロニクスは今春に900人~1000人規模の希望退職者募集に動いた。また、3月に上場を廃止し、香港ファンド傘下で再建中のパイオニアは950人程度が希望退職者募集で6月末までに退職したとされる。

人口減や少子高齢化に伴い国内市場が縮小に向かっているのに加え、足元では米中貿易摩擦や中国経済の成長鈍化などで世界経済に不透明感が漂っており、リストラ圧力が和らぐ気配はなさそうだ。

◎2019年:主な人員削減などの動き(HDはホールディングスの略)

社名概要
三井E&Sホールディングス1000人規模の削減・配置転換。機械・海洋開発に経営資源を集中し、非中核のエンジニアリング事業などの資産を売却
オンキヨー米社へのホームAV事業の売却中止で、再建計画が振り出しに。国内拠点集約、約100人の希望退職者募集など
ファミリーマート本部の構造改革を目的に、2020年2月までに約800人の希望退職者をに募集へ
セブン&アイHD百貨店で1300人、スーパーのイトーヨーカ堂で1700人の削減を予定
サンデンHD店舗ショーケースなどの流通システム事業を国内ファンドに譲渡。カーエアコンなど車機器事業に集中するにあたり、約200人の希望退職者募集
レナウン150人程度としていた希望退職者募集(8月発表)を10月に撤回。今後、削減規模が膨らむ公算が大きい
UACJ9月末、2000人規模の人員削減を発表。非中核の銅管事業は国内ファンドに譲渡
曙ブレーキ9月末に再生計画が可決。国内外の生産拠点閉鎖で今後、3000人規模の削減が見込まれる
日産自動車7月末、2022年度末までに国内外で1万2500人規模の人員削減を発表
ルネサスエレクトロニクス900人~1000人規模の希望退職者募集を計画
コカ・コーラボトラーズジャパンHD2月に700人程度の希望退職者募集を発表(950人が応募)

文:M&A Online編集部