2019年(2019年1月1日ー12月16日)に発表されたIT・ソフトウエア業界のM&Aは135件で2018年の127件を上回り、2008年以降の12年間で最多となった。前年実績を上回るのは2017年以降3年連続。低金利による金余り現象が件数増加の背景にあるものと思われる。

一方、金額は6815億円(1億円未満は切り捨て)となり、2016年の1兆2286億円に次ぐ2番目に高い水準だった。1000億円を超える案件が2件あったため、金額が膨らんだものの、ソフトバンクグループ<9984>がフィンランドのモバイルゲーム会社を約7700億円で売却した大型案件があった2016年には届かなかった。

全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移動を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&A Online編集部が集計した。

【IT・ソフトウエア業界のM&A 件数と金額】

ソフトバンクのヤフー子会社化は4564億円

金額のトップはソフトバンク<9434>が5月8日にヤフー(現Zホールディングス)の第三者割当増資を4564億円で引き受け子会社化すると発表した案件。

ソフトバンクはヤフー株の持ち株比率をそれまでの12.08%から44.64%に引き上げ、役員派遣などを通じてヤフーを連結子会社(支配力基準)するとした。

ソフトバンクとヤフーはそれまでも通信関連事業で業務提携していたほか、Eコマース(電子商取引)を中心に協業を進め、2018年6月にはスマートフォン決済サービスの新会社PayPay(ペイペイ)を共同出資で設立していた。

ソフトバンク関連ではソフトバンクが11月18日に、子会社のZホールディングス<4689>と、韓国NAVERの子会社である LINEを経営統合すると発表した案件があった。2020年10月に両社を統合する計画だが、詳細は今後の協議となるため金額は確定していない。

金額の2位はブリヂストン<5108>が1月22日に、オランダのトムトムのモビリティー関連事業を買収すると発表した案件。

ブリヂストンは欧州子会社を通じて、オランダのトムトム傘下で車両の運送データなどモビリティー関連事業を手がけるトムトムテレマティクスを9億1000万ユーロ(約1138億円)で買収することで合意した。

トムトムは運送や個人向けモビリティー分野のデータ基盤を提供し、ドライバーや運行状況に関する様々なデータ管理などを通じて走行の安全性や効率性、生産性の向上を目指している。

ブリヂストンは車両やタイヤの稼働状況に関するビッグデータを活用することで、商品開発やメンテナンスサービスの品質向上につなげる。

このほか200億円台が2件、100億円台が2件、10億円以上100億円未満が11件、10億円未満が40件、金額非公表が78件あった。

【2019年に発表されたM&Aの金額上位10件】

内容金額
ソフトバンク、ヤフーの第三者割当増資を引き受け連結子会社化 4564億円
ブリヂストン、オランダのトムトムのモビリティー関連事業を買収 1138億円
エヌ・デーソフトウェア、投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズと組んでMBOを実施し株式を非公開化 299億円
SCSK、ソフト開発のMinoriソリューションズをTOBで子会社化 208億円
富士フイルムホールディングス、豪ITサービス企業CSGを子会社化 105億円
ネクソン、スウェーデンのゲーム開発会社Embark Studiosを子会社化 104億円
協和エクシオ、システムソリューション事業のシンガポールDeCloutをTOBで子会社化 69億円
リンクアンドモチベーション、就職・転職情報プラットフォーム運営のオープンワークを子会社化 40億円
NTTデータ、デジタルマーケティング支援のネットイヤーグループをTOBで子会社化 35億円
CAC Holdings、シンガポールIT企業のMitraisを子会社化 28億円

※金額は億円。1億円未満は切り捨て

文:M&A Online編集部