日産自動車の西川広人社長兼CEO(最高経営責任者)が株価連動型報酬を不当に多く受け取った問題を受けて9月16日付で辞任する。後任の経営トップは10月末までに指名委員会で速やかに選定するという。

こうした「指名委員会等設置会社」はガバナンス強化の切り札として語られることが多いが、日本で一般的かといえば、ノー。3700社を超える全上場企業のうち採用企業は2%に過ぎない。知っているようで知らない「指名委員会等設置会社」とは何?

取締役会に指名・監査・報酬の3委員会を設置

会社の機関設計の選択肢は「監査役会設置会社」「指名委員会等設置会社」「監査等委員会設置会社」の3つがある。日本でもともとあったのが監査役会設置会社。2003年に米国型の委員会設置会社(のちに指名委員会等設置会社に名称変更)が登場し、さらに2015年から監査等委員会設置会社が加わった。

日産は今年6月末に、従来の監査役会設置会社に代えて、指名委員会等設置会社へ移行したばかり。カルロス・ゴーン前会長をめぐる会社資金の不正流用など一連の問題を未然に防げなかった反省から、執行と監督・監査を分離し、意思決定の透明性を向上させるのが目的だ。

指名委員会等設置会社には代表取締役と監査役会がない。指名委等設置会社に移行後、西川社長の肩書は従来の「代表取締役社長兼CEO」から、「代表執行役社長兼CEO 取締役」に変わった。

取締役会に指名委員会、監査委員会(職務執行の監督など)、報酬委員会(経営陣の報酬を決定)の3委員会が置かれ、いずれもメンバーは取締役から選ばれる。各委員会は3人以上で構成し、その過半数は社外取締役であることが必須。

人事権を持つ指名委

指名委員会というのは文字通り、経営トップを含む取締役の人事権を持つ。指名委等設置会社でない場合、経営トップである代表取締役に権限が集中し、後継指名も自身が主導して行われることが多く、その弊害を指摘する声もある。

日産の指名委員会は6人で構成し、委員長の豊田正和社外取締役(元経済産業審議官)を中心に次期トップの人選にあたる。この6人のメンバーには大株主である仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長が名を連ねるが、日産生え抜きの取締役は加わっていない。

次期トップについては社内外やルノー出身者を含めて100人ほどの候補者のうち、10人程度に絞り込んでいるという。社長職を退く西川氏が取締役を外れるのか、それとも取締役にとどまるのかも検討される見通しだ。

◎日産:指名委員会(スナール氏を除き、社外取締役)

豊田  正和(委員長)
日本エネルギー経済研究所理事長
井原  慶子ソフト99コーポレーション社外取締役
アンドリュー・ハウス元ソニー・インタラクティブエンタテインメント会長
木村  康JXTGホールディングス相談役
永井  素夫元みずほ信託銀行副社長、元日産社外監査役
ジャンドミニク・スナールルノー会長

それでは、指名委等設置会社の導入状況はどうか。日本取締役協会の調べによると、8月1日現在、78社(東証1部64社、東証2部4社、マザーズ5社、ジャスダック4社、セントレックス1社)。今年に入り、日産をはじめ、三菱マテリアル、NTN、オリンパス、SOMPOホールディングスなど9社が指名委等設置会社に移行した。

ただ、その総数は3700社を超える全上場企業中、2%強。指名委等設置会社が日本に登場して16年になるが、まだまだ“傍流”と言わざるを得ない。

“新顔”の監査等委員会設置会社は1000社を超える人気ぶり

社外取締役つを積極活用する点では2015年に導入された監査等委設置会社も共通する。こちらはニューフェースながら、すでに移行した企業が1000社を超える。人気の秘密は従来の監査役会設置会社と米国型の指名委等設置会社の中間的な位置づけにあるとされる。

大きく言えば、取締役会の下に置かれる監査等委員会(3人以上、過半数は社外取締役)が指名委等設置会社に設けられる3つの委員会の役割を兼ねるイメージだ。新たなガバナンス形態の“本流”とも目されている。

文:M&A Online編集部