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【ソラスト】怒涛のM&A、介護事業に次代のエースを託す
ソラストが介護事業で攻勢を強めている。その原動力が積極的なM&A。同社は診療報酬請求や受付・会計などの医療事務受託のリーディングカンパニーだが、次代の“エース”の座を託すのが介護事業だ。
2019年に入っても、2月には大阪本社の福祉用具・介護用品メーカーの幸和製作所がデイサービスのパムックとあっぷるを子会社化し、7月には東京本社のケアサービスが居宅介護のひだまりを子会社化するなど、地域や業種を超えてM&Aが活発化している介護業界。高齢者の人口割合が増加するなかでの介護人材の不足や介護報酬の改定に加え、事業の大規模化を通じて効率的な運営を目指す動きが強まっているなど複雑な事情が絡み合っている。
現場レベルで特に大きな課題となっているのが介護士など介護人材の不足だ。「やるべきことは次々に出てくる。とても手が回らない状態」と疲弊する介護職員も多い。
こうした状況を受けて、アルバイトの採用から定着・戦力化までワンストップで支援するノーザンライツ(大阪市)では、外国人介護士を受け入れたことがない事業所向けにインドネシア人材の介護インターシップを始めた。
「介護業界の人材関連の会合に参加しても、どことどこがM&Aしたといった話を聞かないことはないくらい。そのなかで介護人材の不足への対処は、介護業界にとっては喫緊の課題だと感じています」(ノーザンライツ代表取締役・山根康宏氏、以下発言は同氏)。
ノーザンライツは2012 年から「NBIP」(Northern Lights Business Internship)と称するインドネシア人材の採用型ビジネスインターシップを実施してきた。13年には「NLEC」(Northern Lights Education Center)という語学学校をインドネシアに開校した。
NLECではインドネシア人材に日本語や就労に必要不可欠なビジネススキル・マナーなどを教育しているが、インドネシアは日本に対して友好的で日系企業も多く、日本の倍の人口がいることもあり、急激な伸びが期待できると考え開校したという。
現在、インドネシアの西部のバンドンと首都ジャカルタにあり、延べ約2000人の卒業生を送り出している(現在の生徒・学生数はバンドン約200人、ジャカルタ約100人)。
インドネシア人材の介護インターシップは同社が従来のビジネスインターシップや語学学校などを通じて培った経験やスキル、実績を生かした取り組みである。
その第一弾は、6月25日~7月4日、横浜市の2つの高齢者福祉施設で行われた。日本人の介護職員が抱きがちな外国人介護士の受け入れに対する不安や抵抗感をなくし、受け入れの準備や理解を促すことを目的とした。
初年度は日本への渡航費・滞在費などすべて同社が負担したが、来年度以降は有料化に切り替え、事業として本格的運営することをめざす。
ソラストが介護事業で攻勢を強めている。その原動力が積極的なM&A。同社は診療報酬請求や受付・会計などの医療事務受託のリーディングカンパニーだが、次代の“エース”の座を託すのが介護事業だ。