2019年(1-10月)「アパレル小売業者」の倒産状況
公開日付:2019.11.11
アパレル関連の小売業者の倒産が増加している。2019年1-10月累計の倒産は199件(前年同期比14.3%増)で、2016年同期(211件)以来、3期ぶりに増加した。すでに2018年の年間倒産件数(1-12月・199件)に並び、3年ぶりに前年超えが確実な状況になった。
また、負債額は1-10月累計で453億9,300万円(同135.3%増)と、前年同期の2.3倍に達した。リーマン・ショック後の2010年同期(457億7,400万円)以来の水準で、大型倒産の増加が全体を押し上げた格好となった。
世界戦略を進める「ユニクロ」など一部ブランドを除き、国内アパレルは苦境が続いている。商品の低価格化に加え、生産拠点の中国・アジア諸国の生産コスト上昇など、収益環境が悪化している。店舗売上の比率が高いブランドは固定費負担も重く、ネット通販が主軸のノーブランド勢との競合も激化している。
こうしたなか2019年は、全国に店舗展開する中堅企業以上の破綻が相次ぎ、負債が大型化している。長年、国内ファッション界をリードしてきた老舗セレクトショップの破産が大きな話題になったが、業界では業歴の長さ、知名度の高さも関係ない状況になっている。増税による買い控えなどの不安要因も浮上し、本格化する年末商戦に向けたアパレル小売業の動向が注目される。
※本調査は、「日本標準産業分類 中分類」における「織物・衣服・身の回り品小売業」をアパレル小売業と定義し、 倒産状況を集計し、分析した。なお、同業種には「靴・履物小売」、「かばん・袋物小売」も含む。
2019年(1-10月)の「アパレル小売業者」の倒産は、119件(前年同期比14.3%増)と2016年同期(211件)以来、3期ぶりに増加に転じた。すでに2018年の年間倒産(199件)に並び、このペースで推移すると、前年の暖冬などの影響で倒産が増加した2016年(245件)に迫る勢いをたどっている。過去20年間では、2001年同期(388件)の半分の水準だが、リーマン・ショック後に減少をたどった倒産が再び、反転する気配が強まっている。
負債額は453億9,300万円(同135.3%増)と、前年同期の2.3倍に達した。負債が400億円台に乗せたのは、2011年同期(425億8,500万円)以来、8年ぶり。負債10億円以上の倒産が8件(前年同期4件)と2倍増し、全体を押し上げた。
負債額の最大はレディースカジュアル販売の(株)ラストステージ(TSR企業コード:152043039、喜多方市、負債66億9,200万円、特別清算)だった。
2019年1-10月の199件のうち、原因別の最多は「販売不振」が164件(前年同期比9.3%増)で全体の82.4%を占めた。次いで、赤字累積の「既往のシワ寄せ」が13件(同30.0%増)で続き、業績不振が大半を占めている。このほか、粉飾決算などコンプライアンス違反を含む「放漫経営」が6件(同50.0%増)と1.5倍増だった。
形態別では、破産が172件(前年同期比13.1%増)で、全体の86.4%を占めた。先行きの見通しが立たず事業継続を断念する消滅型が中心。一方、再建型の民事再生も9件(前年同期比200.0%増、前年同期3件)と増加した。中堅規模以上の企業を中心に、店舗運営やブランドを継続しながら再生手続に沿ってスポンサー支援などの再建を模索するケースが増えている。
負債額別は、1億円未満が148件(前年同期比7.2%増、構成比74.3%)で小・零細規模が大半を占めた。ただし、負債1億円以上10億円未満が43件(同34.3%増、同21.6%)、10億円以上は8件(同100.0%増、同4.0%)と、前年同期の2倍に達した。負債額が大きいレンジほど増加率が上昇し、負債の大型化が顕著となった。
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