世界貿易機関(WTO)上級委員会は、韓国による日本製空気圧伝送用バルブに対するアンチダンピング(不当廉売)課税措置について是正するように勧告する報告書を公表した。

韓国は2015年以降、日本企業が国内価格よりも安い価格で韓国に製品を輸出しているとして、日本製空気圧伝送用バルブに11.6-22.7%のアンチダンピング関税を課してきた。

上級委員会は韓国のアンチダンピング課税措置は、日本企業による安売りによって韓国企業が被った損害の認定や、手続の透明性に問題があり、WTOアンチダンピング協定に整合しないと判断した。今後30日以内に紛争解決機関(DSB)で報告書が正式に採択される。

世耕弘成経済産業相は「韓国が勧告を履行しない場合には、日本はWTO協定の手続きに従っていわゆる対抗措置を発動することができる」との声明を発表した。

上級委員会やDSBとはどのような組織なのか。また対抗措置とはどのように決められるのか。

対抗措置の承認はほぼ確実

WTOは1995年に設立された国際機関で、貿易に関連するさまざまな国際ルールを定めている。今回のWTO紛争処理制度は、加盟国の貿易紛争をWTOルールに沿って解決するための制度で、まずは二国間協議を行い、この協議によって紛争が解決できなかった場合には、申立国は紛争処理小委員会(パネル)に紛争を付託できる。

このパネルの下した判断に不満がある場合には、さらに上級委員会に申し立てを行うことができる。上級員会の判断が最終となり、上級委員会が作成した報告書はDSBに付され、勧告や裁定という形で採択されることになる。

今回は韓国が実施しているアンチダンピング課税措置を是正するように勧告や裁定を行うことになる。韓国がすぐに履行できない場合には15カ月間を越えない範囲で猶予期間が与えられる。

この期間内に勧告などを履行できなかった場合には日本は代償を求めることができ、一定の期間の間に代償について合意ができなかった場合は、日本は対抗措置を取ることについてDSBの承認を求めることができる。

DSBは全加盟国が異議を唱えない限り採択されるネガティブ・コンセンサス方式を採用しているため、DSBの承認が得られるのはほぼ確実。対抗措置の内容については現時点では不明だ。

外務省のホームページより