人員削減の一環として希望(早期)退職者を募集する上場企業が後を絶たない。8月はアパレル大手のレナウンが150人程度、衛生陶器のアサヒ衛陶が約15人の希望退職者を募集すると発表した。いずれも業績不振が理由。また、ダイヤモンドワイヤを製造する中村超硬は新規事業からの撤退に伴い、今後、退職者を募る予定としている。

希望退職者の募集は上期(1~6月)で12社に上り、昨年1年間にほぼ並んだ。下期も7月の3社と合わせ、すでに6社と増勢をキープした格好だ。

米中貿易摩擦や中国経済の成長鈍化などで世界経済の減速懸念が強まっている。さらに日韓貿易対立が加わり、国内景気の先行きに不透明感が高まっており、下期もリストラ圧力が一段と高まるおそれがある。

2008年以来の募集に踏み切るレナウン

レナウンは8月23日、新中期経営計画の発表と合わせて希望退職者の募集を公表した。希望退職者の募集に踏み切るのは2008年(約300人募集)以来となる。同社は2010年に中国アパレル大手「山東如意科技集団有限公司」グループの傘下に入り、経営立て直しを進めてきた。

150人程度とする募集人員は同社と関係会社の40歳以上の社員を対象とし、全社員の16%強にあたる。募集期間は10月上旬までで、退職日は11月30日。規定の退職金に特別加算金を上乗せする。

同社は2019年2月期に営業損失25億7900万円(前期は2億1500万円の黒字)の大幅赤字に転落。売上高は4.1%減の636億円だった。中期計画の最終年度である2023年12月期(2月期から変更)には売上高700億円、営業利益25億円を目指す。

この実現に向け、基幹ブランドの「ダーバン」「アクアスキュータム」や通販サイト「アーノルドパーマータイムレス」事業を重点強化する。

アサヒ衛陶、5期連続の赤字から脱却へ

アサヒ衛陶は8月30日現在40歳以上の正社員を対象とし、約15人の希望退職者を募集する。募集人員自体は少ないものの、同社従業員の2割近くに相当する。募集期間は9月30日~10月11日。特別加算金を上乗せするほか、再就職を支援する。退職日は11月30日。

同社はトイレと洗面機器を2本柱とするが、2019年11月期まで5期連続赤字(営業、経常、最終損益の全項目)を予想する。来期(20年11月期)についても追加的な人員削減を予定するなど国内の構造改革を徹底し、赤字脱却を目指す。国内市場が激化する中、ベトナムでの生産やアジア・中東など新興市場開拓で活路を見いだしたい考えだ。

実は、アサヒ衛陶は300年の歴史を持つ長寿企業。18世紀初め、住吉大社(大阪市)の屋根瓦を製作するようになったのが始まりという。全国各地にある住吉神社の「総本社」が住吉大社にほかならない。

中村超硬は医薬関連事業から撤退

中村超硬は8月30日、新規事業として取り組んでいた医薬候補化合物の探索に関する受託合成事業からの撤退を発表。これに伴い、希望退職者(人数など未定)を募る予定。同事業部門の社員は本業と異なる専門知識を持つことから、社内での配置転換が難しいという。

2016年9月に開設した専用研究施設(大阪府吹田市)の閉鎖も決めており、売却などを検討している。

同社は太陽電池など電子材料の切断に使われるダイヤモンドワイヤの製造が主力。中国の太陽光発電市場の縮小によるダイヤモンドワイヤ価格の大幅下減が直撃し、2019年3月期の売上高は6割減少。20年3月期末までに債務超過(約13億円)を解消できないと上場廃止(マザーズ)となることから、本業の収益力強化が急務になっている。

◎2019年に入り、希望・早期退職者募集を発表した企業

発表月社名募集規模と応募人数
8月
レナウン150人程度(~10月上旬)
アサヒ衛陶約15人(9月30日~10月11日)
中村超硬募集を予定
7月
TATERU160人程度→136人応募
キョウデン定めず→129人応募
富士通フロンテック100人程度
6月
ジャパンディスプレイ1200人(7月29日~8月27日)
5月
Aiming40人程度→51人応募
東芝約350人(システムLSI事業子会社の東芝デバイス&ストレージで。9月末に退職予定)
4月
中外製薬定めず→172人応募
3月
メガチップス40人程度→42人応募
2月
協和発酵キリン定めず→296人
鳥居薬品定めず→281人応募
ルネサスエレクトロニクス900人程度(推定)
コカ・コーラボトラーズジャパンHD700人程度→950人応募
1月
アルペン300人程度→355人応募
光村印刷30人程度→子会社の新村印刷で実施済み
カシオ計算機定めず→156人応募

※上記以外に日産自動車は7月末に国内外で1万2500人の人員削減を発表。この中で国内従業員の一部は早期退職者制度の活用が見込まれている。

文:M&A Online編集部